鉄欠乏性貧血の患者さんは女性に多いため、貧血の市販薬も女性の視点に立って説明されることが大半です。女性は毎月生理があるため、慢性的な鉄分不足が原因で鉄欠乏性貧血になる方が多いです。
その一方で「動悸」「息切れ」「めまい」「一向に抜けない疲労感」などから、貧血を疑う男性も少なからずいらっしゃいます。
男性の貧血と女性の貧血の違い
成人男性の場合。3.5~5gの鉄が体内に存在し、その3分の2がヘモグロビン。残りの1g以上が貯蔵鉄として肝臓などに蓄えられています。
鉄は体内で蓄えられてリサイクルされる性質があるため、生理で余分に鉄が出て行く女性に比べると男性は「鉄分収支がマイナス」になることは少ないです。
例えば、成人男性の1日の鉄推奨量は7.0mgです。この量は栄養バランスのよい食事を規則正しく3食食べることでまかなうことができます。
貧血の大半は体内の貯蔵鉄不足から起こる鉄欠乏性貧血が多く、普段の食事で必要量が満たされる男性は鉄欠乏性貧血になりにくい傾向があります。
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男性の貧血の注意点
男性の貧血は、「鉄を大量に消費する運動強度の高いスポーツをしている場合」を除けば造血機能に問題があるなど他の要因が隠れている場合があります。
貧血には単に「鉄分不足が原因の鉄欠乏性貧血」とそれ以外の貧血があります。
鉄⽋乏性貧⾎は体内に蓄えられた貯蔵鉄が不⾜することによって、赤血球の材料であるヘモグロビンの産⽣が不⼗分になり起こります。
鉄分不足が起こりにくい男性の貧血は、再⽣不良性貧⾎・溶⾎性貧⾎・巨⾚芽球性貧⾎および悪性貧⾎など。ときとして「赤血球やヘモグロビンの産生に関わる機能不全」が潜んでいる可能性もあります。
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鉄欠乏性貧血か否かは自覚症状から判断できません
上記の貧血はご自身の自覚症状から判断することは困難です。医療機関では「⾚⾎球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値」の3項⽬を確認します。
更に「MCV・ MCH・ MCHC」を計算することで、鉄欠乏性貧血なのか、もしくはそれ以外の貧血なのか「貧⾎の種類」を確かめていきます。
予防など自己対策も大事ですが、自覚症状の改善が見られない場合は過信せず、血液内科など専門医の門を叩いて下さい。
男性の貧血と市販の鉄剤や栄養機能食品の摂取について
市販の鉄剤は、病院で鉄不足と言われた人しか飲んではいけないわけではありませんので、予防的に飲むことも可能です。
性別に関係なく「軽度の鉄欠乏性貧血」の場合は鉄分を補給することで楽になりますので、予防的に鉄のサプリメントや鉄剤を補給することは問題ありません。
例えば、鉄分は発汗によって失われますので、マラソンランナーなど大量の発汗を伴うスポーツをする人は鉄欠乏性貧血になりやすいのは有名です。
運動強度の高いスポーツなど、日常生活の範疇を超える「大量の鉄分」を消費をされている場合は、「市販薬やヘム鉄など鉄分を含有する栄養機能食品」で補給するのもひとつの方法です。
ご参考になれば幸いです