貧血のくすり

マスチゲン錠とマスチゲンS錠の違いと効果が現れるまでの目安について

2017-10-19

市販の鉄剤には、「溶性ピロリン酸第二鉄」と、「フマル酸第一鉄」が採用されています。

マスチゲンS錠は、ファイチより2倍以上鉄分が多く、1日に推奨されている鉄分摂取量の2倍以上の23mgの鉄分が配合されていましたので、

2016年にマスチゲン錠が販売される以前は、「マスチゲンS錠は生理で出血量が多い人」向け。

ファイチは鉄の臭いと味がしないフィルムコーティング錠で服用回数が1回で済むことから、「鉄剤の味や臭いに敏感で胃がムカムカした人」といった感じで使い分けされていました。

この記事では、マスチゲン錠とマスチゲンS錠の違いや副作用など。マスチゲン錠の使用上の疑問点を紹介します。

マスチゲン錠とマスチゲンS錠の違い

  • マスチゲンS錠はマスチゲン錠の販売に伴い製造中止となりましたので、在庫限りで販売終了になりました
マスチゲンS錠は1日2回服用する必要がありましたが、マスチゲン錠は1日1錠で済むように負担が軽減されています。

マスチゲン錠は、「フマル酸第一鉄(マスチゲンS錠)」から体内で吸収のよい「溶性ピロリン酸第二鉄」に変更することで、鉄分を効率よく摂取できるようにリニューアルされました。

また鉄分の吸収を手助けするビタミンCと、ビタミンB12と葉酸の組み合わせで造血を助けるビタミンの配合量がUPされています。

マスチゲン錠は、抗酸化作用の力で赤血球を守ってくれるビタミンEもバランスよく配合された貧血に効くお薬です。

マスチゲンS錠よりマスチゲン錠が成分の種類が減っている理由

マスチゲン錠は普段の食事だけでは不足しがちな鉄と造血のビタミンの配合量をUPさせています。

マスチゲンS錠からリニューアルされた成分

マスチゲン錠は、マスチゲンS錠に配合されていたリン酸水素カルシウムやビタミン類(ビタミンB2・ビタミンB6・ニコチン酸アミド)、硫酸コバルト、硫酸銅などの微量ミネラルが配合されていません。

これらの成分は赤血球やヘモグロビンの生成を手助けしてくれる栄養素ですが、普段の食事で不足することは稀ですので、

マスチゲン錠は赤血球やヘモグロビンを増やすための鉄やビタミン、たんぱく質のなかで、食事だけでは不足がちな「鉄と造血のビタミン」の配合量を増やしています。

  • 鉄分→吸収のよい溶性ピロリン酸第二鉄に変更
  • ビタミンC→25mgから50mgにUP
  • ビタミンB12→5μgから50μgにUP
  • 葉酸→0.5mg→1mgにUP
  • ビタミンE→5mg→10mgにUP

マスチゲン錠の有効成分の働き

  • 溶性ピロリン酸第二鉄は、フマル酸第一鉄より体内での吸収がよい鉄剤です。
  • タミンB12は、赤血球の形成に重要な造血のビタミンです。
  • 葉酸は、ビタミンB12の働きを助ける相乗効果のあるビタミンです。
  • ビタミンEは、正常な赤血球を酸化から守り赤血球のヘモグロビン合成を促します。
  • ビタミンCは、ヘム鉄化を保持し鉄分の吸収を助けます。
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マスチゲン錠を服用して効果が現れるまでの目安

  • マスチゲン錠はヘモグロビンの数値が11g/dLを少し下回るくらいの軽い貧血の方の場合。まずは1ヶ月分をしっかり飲みきってみてください。
鉄欠乏性貧血で起こる貧血の症状は、身体に鉄分が足りていないことを知らせるサインです。

「マスチゲンはいつまで飲み続けないといけませんか」とご相談される方も多いですが、マスチゲン錠は数値が改善されれば服用を止めていただいても構いません。

鉄欠乏性貧血は、身体のなかに貯蔵鉄が十分に蓄えられれば、ちょっとした鉄不足では貧血に悩まされにくくなります。抱えている自覚症状が和らいでも十分な貯蔵鉄の量まで回復するには約4ヶ月~半年程度はかかります。

鉄分不足が続くと貯蔵鉄が減っていきます。鉄欠乏性貧血に悩まれている方は、身体のなかでリサイクルされる鉄とあわせて「鉄分の収支を正常な状態に戻す」必要があります。

私たちの身体のなかに蓄えられている鉄分は、毎日「食事から身体に吸収される鉄分(1mg)」と「身体のなかで消費される鉄分(1mg)」で入れ替わってバランスが取れています。

需要量と供給量がバランスを取れている間は問題ないのですが、鉄分の収⽀がマイナスの「かくれ貧⾎」が続くと、蓄えられた貯蔵鉄と食事からの鉄分だけでは必要量が補いきれなくなります。

関連記事【ヘモグロビン・フェリチン】貧血の症状がない鉄不足と鉄欠乏性貧血の違いについて(タップorクリックで関連記事に移動します)

マスチゲン錠を毎日飲み続けた場合の副作用について

  • マスチゲン錠の溶性ピロリン酸第二鉄79.5mgという表記は鉄と添加物の合計で1日に摂れる純粋な鉄分は10mgです
厚生労働省日本人の食事摂取基準2020」によると、15歳以上の女性の1日あたりの鉄の耐容上限量は40mgです。

「鉄剤は毎日飲み続けて大丈夫なの」と鉄の過剰症を心配される方も多いですが、用法用量を守って服用した場合。吸収できない鉄剤の大半は便と一緒に排出されます。

日本人の食事から摂る鉄の量は平均7~8mg前後ですので、決められた用法用量でマスチゲン錠(1錠10mg)を毎日服用しても鉄の過剰摂取を心配する必要はありません。

ただし、マスチゲン錠は1日あたりの錠数を増やす飲み方はNGです。決められた用法用量以上の鉄分を摂っても胃もたれや吐き気など胃腸障害(副作用)のリスクを高めるデメリットしかありません。

鉄分を増やすためにマスチゲン錠もファイチと同じように1日2錠飲んでもいいですか?」とお申し出になられる方がいらっしゃいますが、絶対に止めてください。

マスチゲン錠の対象年齢は15歳以上です。8〜14歳のお子さんの貧血には子供用マスチゲン錠を飲ませてあげてください。

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