貧血に効く市販の鉄剤やサプリを探していて、「このお薬は私の貧血にも効くのかな」と疑問に思ったことはありませんか。
ファイチ・マスチゲン・ヘマニック・エミネトンなど。市販で売られている一般的な貧血のお薬でも対処できるのは体内の鉄分が不足したときに起こる「鉄欠乏性貧血」だけです。
重度の貧血の場合は身体に必要とされる鉄分を満たすことができないため、市販の鉄剤で思ったような効果を得られないことがあります。
女性の90%以上は鉄分を補給することによって回復する鉄欠乏性貧血が多いですが、「再生不良性貧血」「悪性貧血」「溶血性貧血」などの場合は市販薬で対応する範囲を超えています。
市販の貧血の薬・鉄剤(医薬品)で対応できない貧血の種類
- 再生不良性貧血・悪性貧血・溶血性貧血・その他疾病が原因の貧血
再生不良性貧血は、何らかの原因で骨髄中の赤血球、好中球、血小板の基になる造血幹細胞が傷ついて起こる貧血です。骨髄に針を刺して採取する骨髄穿刺と骨髄生検により診断されます。
溶血性貧血は寿命の短い赤血球が多くなり、栄養素が十分に送れなくなることによる貧血です。
最も多い自己免疫性溶血性貧血の場合。赤血球を異物として攻撃する免疫が体のなかにつくられてしまうことが原因です。
血液の検査によって、貧血や間接ビリルビン、乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇が認められれば、溶血性貧血の可能性が疑われます。
悪性貧血は赤血球をつくるビタミンB12が欠乏して起こる貧血です。血液検査や骨髄を調べることで判断できます。ビタミンB12を補給するだけでは治らないので、医療機関の治療を受けてください。
鉄欠乏性貧血の診断方法(病院)と検査数値の目安
- 健康診断の基準値は正常な⼈の 95% が当てはまるように設定されていますが貧血と判断するには医師の診断が必要です。
血液検査の目安 | 男性の平均値 | 女性の平均値 |
⾚⾎球数(RBC) | 400~539万/μℓ | 360~489万/μℓ |
ヘモグロビン濃度(Hb) | 13.0~16.6g/dL | 11.4.~14.6g/dL |
ヘマトクリット値(Ht) | 38.0~48.9% | 34.0~43.9% |
貧血はおもに、血液検査によって⾚⾎球数(R,RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット値(Ht,Hct)の3項⽬から判断されます(基準値より低い場合に貧血の可能性があります)
貧血の程度は血液中のヘモグロビン濃度だけで判断されるわけではありませんが、血液中のヘモグロビンの濃度が「10、11(g/dL)は軽度」
「9~7(g/dL)からは中度」、「4~6(g/dL)」しか濃度がない場合は重度の貧血(女性の場合)と言われています。
また、重度の貧血かどうかは、さらに、MCV・ MCH・ MCHCをはじめ他の数値を調べることで、鉄欠乏性貧血もしくはそれ以外の貧血なのか「貧⾎の種類」が分かります。
血清中の鉄分とフェリチンの減少。トランスフェリンという鉄の輸送に関わるタンパク質の増加、形のいびつな薄っぺらい赤血球(菲薄赤血球)の比率が高くなることで鉄欠乏性貧血と診断されることがあります。
用語解説
- MCVは⾚⾎球1個の⼤きさを⽰すものです。ヘマトクリット ÷ ⾚⾎球数で計算されます。
- MCHは⾚⾎球1個中に含まれるヘモグロビン量のこと。ヘモグロビン ÷ ⾚⾎球数でヘモグロビン量を測ります。
- MCHCは、1個の⾚⾎球中に含まれるヘモグロビン濃度を計算するもの。ヘモグロビン ÷ ヘマトクリットで濃度を調べます。
貧血の検査にかかる自己負担額の目安
内科や血液外来などで貧血の検査にかかる自己負担額はおよそ1500~3000円程度です。通院費用も1回千円前後(週2の場合でも一万円以下)の場合が多くなります。
医療用の増血剤は市販薬の5~10倍以上の鉄分が配合されていますので、医療用の増血剤を処方してもらって、睡眠の質や疲労感が改善した方もいらっしゃいます。
ただ、健康診断を毎年受けてない方は私が貧血なのかどうか判断がつきにくいですよね。
いざ病院に行くとなると「貧血じゃなかったら時間と診察代が無駄になるかも」と腰が重いかもしれません。そんなときはまぶたの裏の色を観察してみてください。
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市販の鉄剤の服用を中止したほうがよい場合
【 受 診 勧 奨 】以下の場合は市販薬に頼らずお近くの医療機関を受診してください。
- ヘモグロビンの基準値が低く、すでに病院での治療を受けている方。
- 食生活の改善といっしょに鉄製剤を服用をしても症状の改善が見られない場合。
- 症状が長引いて重いときは、月経過多や鉄欠乏性貧血以外の貧血、消化管出血、子宮筋腫等の出血性疾患など違う病気が原因で身体に現れている症状かも知れません。
- 一般薬は継続的な治療を必要としない軽微な症状に対して使われるお薬です。症状が重いと感じたら、自分で判断せず医療機関の専門家にバトンタッチしましょう。
ご参考になれば幸いです。