お薬の疑問

【簡易版】市販薬の催奇形性の時期について妊婦さんに知って欲しいこと

2017-03-26

風邪薬や痛み止め、花粉症のお薬、便秘薬など。

妊娠前に飲んでなんともなかったお薬でも、妊娠中に服用すると思いもしない副作用が出たり、赤ちゃんに影響を与える場合があります。

おくすりの影響で催奇形性が高まる時期は、胎児の器官形成と密接に関係しています。赤ちゃんの臓器が作られる時期にお薬を服用すると、奇形などのリスクが高くなります。

おくすりによる催奇形性のリスクは、妊娠4〜7 週(絶対過敏期)と8〜15 週(相対過敏期)に起こります。

妊娠中は母子共々とてもデリケートな状態です。赤ちゃんのためにも安易に市販薬に頼らず、かかりつけの専門医の指示を優先してください。

医薬品による催奇形性が問題となる時期

おくすりの影響による催奇形性は、おなかのなかで赤ちゃんの重要な臓器がつくられていく時期と、お母さんが医薬品を使用した時期が重なると危険性が高まります。

例えば、赤ちゃんの心臓や神経は、妊娠してから2ヶ月目の妊娠4〜7 週(絶対過敏期)から作られ始めます。

妊娠3ヶ月の妊娠8週目にはヒトとしての基本的な形が完成し、妊娠してから約4ヶ月(妊娠15週)までで胎児の器官形成が完了します。

おくすりによる催奇形性のリスクは、お母さんが絶対過敏期(妊娠4〜7 週)から相対過敏期(8〜15 週)の間に「催奇形性の可能性のある医薬品」を服用するとリスクがあがります。

妊娠4週目までに飲んでしまった医薬品の影響

催奇形性の危険性はありませんが、医薬品によって受精卵の着床が妨げられたり、流産のきっかけになったりもするので妊娠を望まれている方には注意が必要です。

よく生理がないのに気づいて、妊娠がわかるまでに飲んだお薬の影響を心配されるお母さんがいらっしゃいますが、流産をしていないのであれば気にする必要はありません。

この時期は細胞が胎児の内臓や器官に変わる時期ではないので、胎児への影響は少なく催奇形性のリスクも低いとされています。

妊娠4〜7 週(絶対過敏期)

  • 催奇形性:最も高い
胎児の内臓や器官が作られる妊娠2か月目(妊娠4週~8週目)は、薬によって奇形が最も起こりやすい時期といわれています。

この時期には、脳や心臓はもちろんのこと。目・口・耳・消化器、骨、腹部、四肢など。重要な臓器が絶えず細胞分裂を繰り返しているので、薬の服用にもっとも注意が必要な期間です。

医薬品だけでなく、ビタミンAの過剰摂取は赤ちゃんの先天性異常をひきおこすリスクが指摘されていますので注意が必要になります。

妊娠8週~15週末(相対過敏期)

  • 催奇形性:引き続き注意が必要
催奇形性の危険性は絶対過敏期より低くなりますが、医薬品の使用には引き続き注意が必要な時期です。

胎児の発育の進み具合によっては重要な器官形成がこの時期にずれ込むことがありますので、自己判断でお薬を服用するのは避けてください。

妊娠11週目頃には性器の分化も整いお子さんの性別が判明します。性器の分化は男性ホルモンの分泌によって行われるので、性ホルモンに働きかけるような作用を持つお薬は厳禁です。

妊娠16週~40週

  • 催奇形性:催奇形性の問題は低い
胎児の臓器や器官の形成が完了している時期なので、「手足の形がおかしい」とか「顔面や頭部の変形」など狭い意味での奇形性の発症という点では問題ありません。

ただし、服用した薬剤の影響で生理機能の障害など。胎児の発育に影響をおよぼす危険性があります。

通常医薬品の場合は、胎盤がバリア(防壁)になって胎児に行かないようになっています。ですが一部の薬剤については胎盤関門を通過して胎児に影響を与えるリスクが存在します。

参考妊娠中に使用できる医薬品について

妊娠中に使用できる下剤や痛み止め、花粉症のお薬の可否については、聖隷浜松病院薬剤部様が作成された「~妊娠中のお薬の使い方~」がわかりやすくまとめられていますので一度ご覧になってみてください。

参考聖隷浜松病院薬剤部作成 総合周産期母子医療センター監修「~妊娠中のお薬の使い方~」(タップorクリックで見れます)

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