お薬の疑問

PMS(月経前症候群)による吐き気は鎮痛剤の服用で少し楽になります

2019-09-14

数あるPMSの不定愁訴(不快な症状)のなかでも、ひどい吐き気をなんとかしたいと思っている方は多いですよね。

生理1~2週間前のPMS(月経前症候群)の時期は、普段と比べて⼥性ホルモンのバランスの波が激しくなります。

イライラや落ち込みなど女性はホルモンの分泌バランスの変化に影響されやすく、急に情緒不安定になったり(精神的不調)、頭痛・吐き気・腰痛・むくみなど(身体的変調)が起こりやすくなります。

もし毎月PMSで苦労していて、「吐き気がどうしても耐えられない」と思ったとき。生理予定日の3~4日前から鎮痛剤(アセトアミノフェン)を服用してみてください。

この方法はPMSの吐き気をまったく起こらなくするものではありませんが、いつもより襲ってくる吐き気が緩和されて楽に感じられます。

PMSで起こるココロの症状

  • いらいらする・気分が落ち込む・自己嫌悪・情緒不安定・集中力の低下・倦怠感など

PMSで起こるカラダの不調

  • 肌荒れ・体重増加・むくみ・冷え・頭痛・腰痛・腹痛・吐き気・乳房が張るなど

PMSの吐き気に悩まされる原因について

⽣理前はホルモンの分泌バランスが変わり、体内で「プロスタグランジン」と呼ばれるホルモンに似た増痛物質が増加します。

プロスタグランジンは生理痛や頭痛の原因になる「痛みのもととなる物質」です。PMSによる吐き気はプロスタグランジンの増加が原因のひとつとも指摘されています。

増痛物質のプロスタグランジンは、子宮以外にも体内の臓器に影響を及ぼす筋⾁も収縮させるため、胃腸がぎゅっと締め付けられ痛みや吐き気を感じやすくなります。

鎮痛剤は原因となるプロスタグランジンが必要以上に増えないように生成を抑えてくれる役割があります。

鎮痛剤そのものに吐き気を抑える効果は一切ありませんが、プロスタグランジンの過剰な生成を抑えることで⼦宮壁の充血や胃腸の締め付けを緩和し痛みと吐き気を楽にします。

体内でプロスタグランジンが増えすぎた後では効果が薄いので、あらかじめ生理予定日の3~4日前から鎮痛剤(アセトアミノフェン)を服用すると襲ってくる痛みと吐き気がマシになります。

アセトアミノフェン

ほかの鎮痛薬と違って胃を荒らす心配が少ない痛み止めのお薬で空腹時にも服用できます。

PMS改善のための治療薬

PMSの吐き気が出たときに鎮痛剤を服用するのは、一時的な対処療法です。PMSの原因そのものを治療するものではありません。

また、痛みに対する症状は鎮痛剤で緩和することができますが、ホルモンバランスの乱れによるココロとカラダの症状は要指導医薬品のプレフェミン(ゼリア新薬)が販売されています。

プレフェミンは、市販されている医薬品のなかで唯一PMSの症状の軽減に効果が認められた医薬品です。プレフェミンは、「いらいら感」「抑うつ気分」「怒り」「頭痛」「乳房のはり」などの改善に効果があります。

ただしプレフェミンは薬剤師との対面販売のみで購入できる要指導医薬品のためネットによる購入はできません。プレフェミンお求めの際は、近隣の薬剤師常駐の薬局にてご相談ください。

プレフェミンの効能効果

対象年齢(18歳以上)月経前の乳房のはり、頭痛、イライラ、怒りっぽい、気分変調の緩和

プレフェミンによるPMSの症状の軽減にかかる期間の目安

プレフェミンは、メディカルハーブのチェストベリー乾燥エキスがホルモンバランスをじんわり整えることで、PMSの代表的な症状を穏やかにしていきます(約1ヵ月程度)

プレフェミンは生理前のイライラと体調不良がひどくなる前から服用します。プレフェミンは生理周期を約28日とした場合。効果をしっかり実感したい場合には、生理が3回まわってくる84日程度飲み続けることが推奨されています。

頑張ってプレフェミンを3周期分服用した場合。約9割の方が改善が見込めるとされていて。プレフェミンの効果を確かめる臨床実験では、服用を中止しても服用開始以前よりも症状が軽くなったという結果が出ているそうです。

また、プレフェミンはずっと飲み続けなくても大丈夫です。生理の3周期目以降も継続していきたい方のみ、定期的に医師に相談して服用を続けてください。

プレフェミンの副作用として、まれにを服用開始直後にPMSの諸症状が強く現れたという報告もあります。服用に関しては医師や薬剤師の方とご相談のうえ使用してください。

医療機関でのPMSの治療について

日常生活を脅かすような強い不快感や症状が重い場合は、市販薬に頼らず医療機関の診察を受けアドバイスをもらってください。

PMSによる吐き気の場合であれば、吐き気を抑える対症療法として鎮痛剤・吐き気⽌め・抗不安薬の併⽤・ホルモン変動をなくす低⽤量ピル・PMSレス注射などの選択肢があります。

また、PMSの症状は⼈によって様々ですが、場合によっては婦人科系のPMS以外の症状が原因になっている場合があります。

症状が年々ひどくなっていくような場合は、早めの受診をお願いします。

 

 

ご参考になれば幸いです

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