仮眠の際に「入眠が早く頭がスッキリする」との理由で、ネットの記事で見た「アルコールとイブプロフェンの同時摂取」を試された方がいらっしゃいます。
医薬品服用の基本ですが、アルコールは医薬品の代謝分解に影響を及ぼします。解熱鎮痛薬とアルコールの併用は副作用のリスクを高めるので絶対に行わないでください。

アルコールとイブプロフェン
【薬物乱用性頭痛】を訴えた方がおっしゃるには、医薬品とは関係ない他分野の専門サイトの記事で、「アルコールとイブプロフェンの同時摂取」についてのエビデンスが公開されていたそうです。
詳細は割愛しますが、解熱鎮痛剤の「イブプロフェンの半減期」と、「レム睡眠⇒ノンレム睡眠」の1サイクルが同じことを利用して、「アルコールと同時摂取することで、成分の半減期を迎えた頃には脳がリフレッシュされて作業効率が復活」すると紹介されていたとのことです。
普段はネットリテラシーも高く、眉唾な記事には否定的な方なのですが、ご自身が参考にされている「他分野の専門サイト」とのことで【薬物乱用の誤った情報】を安易に信用されてしまったそうです。
アルコールと医薬品の代謝分解酵素は同じ
解熱鎮痛剤に限らず、アルコールと医薬品は分解代謝する酵素が同じものがあります。
医薬品の服用前後にアルコールを摂取することで、お互いの代謝分解を妨げあって、おくすりの効きめの強さが変わったり、思わぬ副作用を招くおそれがあります。
もっともらしい科学的エビデンスが記載されていたとしても、医薬品の用法用量を逸脱した医薬品の乱用は行わないでください。医薬品の用法用量を逸脱した医薬品の乱用は、国の実施する医薬品副作用救済制度の対象外にもなります。
予期せぬ副作用が現れた場合は、使用した医薬品の成分が分かる添付文書を持参して、すみやかに医療機関の診察を受けてください。
【参考】お酒が大好きなひとの「おくすりが効きにくい理由」
お酒の飲みすぎはおくすりの効き目が弱くなる
例えば、500mlのビールを毎晩3本とか、度数の高い焼酎・日本酒など1日平均エタノール60g以上を常飲しているような常習飲酒家さんだとその可能性が高くなる場合があります。
常習飲酒家さんがお酒を止めてもお薬が効きにくくなる理由は、アルコールもお薬も代謝する酵素MEOS(ミクロゾームエタノール酸化酵素系)がお酒を飲むことで活性が高まるからです。
MEOSの活性はアルコールに強くなるのと同時にお薬に対する耐性も上がってしまうため、薬が効きにくくなってしまいます。日常的におくすりを服用されている方はアルコールを控えるか、できれば禁酒するのが望ましいです。
MEOSの活性は、1~2週間程度お酒を止めることで、徐々に低くなっていきます。
お酒を久しぶりに飲んだら酔いが回るのが早いのはこのことが原因です。
ご参考になれば幸いです。