お薬の疑問

くしゃみ鼻みず鼻づまり。抗ヒスタミン成分同士の併用は副作用リスクを高めます

2017-03-14

よく花粉症の時期に、「アレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)と、エピナスチン(アレジオン)やセチリジン(ストナリニZ)の併用は可能ですか」とご相談を受けることがあります。

つらい花粉症の症状を抑えようと効果の高い鼻炎薬を併用したい気持ちはわかりますが、成分が違っても同じ抗ヒスタミン成分同士の併用は副作用のリスクを高めるだけです。

くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどを抑える抗ヒスタミン成分を2倍服用したとしても、効果が2倍になるわけではありません。

この記事では、市販薬に配合されている抗ヒスタミン成分の種類と、併用による副作用のリスクをご紹介します。

抗ヒスタミン成分の配合された医薬品

内服薬・外用薬を問わず抗ヒスタミン成分はさまざまな医薬品に配合されています。

たとえば「かぜ薬」と「鼻炎薬」のような目的が似たようなものから、「乗り物酔いの薬」のように目的が違うものまで様々です。

重複している製品を併用すると、眠気や口渇、目がチカチカする、まぶしいといった軽微なものから、ひどい便秘、排尿困難による尿閉、けいれん、アナフィラキシー反応、視覚障害など重篤な副作用のリスクが高まります。

安全に医薬品を使うために、誤って同じ効き目のおくすりを併用しないよう抗ヒスタミン成分がどのような薬効群に入っているか見てみましょう。

医薬品の種類 配合の目的および効果
かぜ薬 くしゃみや鼻汁などアレルギー症状の緩和
鼻炎用内服薬・鼻炎用点鼻薬
アレルギー用薬 蕁麻疹(じんましん)湿疹・かぶれ・かゆみなどの症状の緩和
点眼薬 目のかゆみをやわらげる
鎮咳去たん薬 咳・喘息・気道のつらい炎症を緩和する
口腔咽頭薬 のどの不快感を緩和する
外皮用薬 湿疹・皮膚炎・かぶれ・あせも・虫さされ等のはれ・かゆみなどの症状の緩和
外用痔疾用薬 痔のかゆみ・はれ・出血による痛み等の緩和
乗り物酔い防止薬 乗り物酔いによるめまい・吐き気などの防止・緩和
睡眠改善薬 寝つきが悪い、眠りが浅いなど一時的な睡眠障害を緩和する

代表的な市販薬に含まれる抗ヒスタミン成分の一例

おことわり。こちらは一般薬に含まれる代表的な抗ヒスタミン成分を紹介するもので、すべての成分を特定するものではありません。

また、医薬品は人体に影響する作用がすべて解明されているわけではありません。適切に使用された場合でも副作用が生じることがあります。

配合されている医薬品の成分
アゼラスチン塩酸塩 ジフェンヒドラミン
エピナスチン塩酸塩 ジメンヒドリナート
塩酸イソチペンジル セチリジン塩酸塩
塩酸ジフェニドール テオクル酸ジフェニルピラリン
塩酸ジフェニルピラリン テオクル酸プロメタジン
塩酸ジフェンヒドラミン フェキソフェナジン塩酸塩
塩酸トリプロリジン フマル酸クレマスチン
塩酸メクリジン マレイン酸カルビノキサミン
ケトチフェンフマル酸塩 マレイン酸クロルフェラミン
サリチル酸ジフェンヒドラミン メキタジン
ジフェニルイミダゾール ロラタジン                           など

抗ヒスタミンの副作用

  • 眠気
    ヒスタミンは、私たちの体の中で神経の伝達などにかかわっている大切なホルモンのひとつです。抗ヒスタミン剤はヒスタミンのアレルギー反応(免疫制御)をおさえる代わりに眠気を起こします。(H1受容体に影響を及ぼすため)
  • 口渇
    抗ヒスタミン剤が持つ抗アセチルコリン作用の副作用によって、唾液をつくりだす働きが妨げられれて口渇感を感じることがあります。
  • 便秘
    抗ヒスタミン剤が持つ抗アセチルコリン作用の副作用によって、胃・腸などの消化器官の働きが抑えられるため便秘になります。
  • アナフィラキシー(ショック)
    すべてのおくすりの成分が原因で引き起こされる重篤なアレルギー反応(過敏反応)のことを言います。症状は突如現れて、発症してから症状の進行が早い(2時間以内)のが特徴です。顔面蒼白、手足が冷たくなる、冷や汗、胸の圧迫感、発疹など。
  • けいれん
    特定の抗ヒスタミン剤を大量摂取した場合、中枢神経が異常興奮し小児やてんかん患者でけいれんを起こしたという報告例があります。
  • 排尿障害・尿閉
    抗ヒスタミン剤がもつ抗アセチルコリン作用により、排尿を促すアセチルコリンの働きが邪魔されるため尿がでにくくあることがあります。
    特に前立腺肥大の患者さんは抗ヒスタミン剤の使用で症状が悪化する場合があるので使用しないでください。
  • 眼圧上昇による視力障害
    抗ヒスタミン剤がもつ抗アセチルコリン作用により瞳孔の調節機能が影響を受けて、一時的に目がチカチカしたりまぶしさを感じることがあります。
    また緑内障の患者さんは抗ヒスタミン剤の使用で房水の排出が妨げられ緑内障の症状が悪化する場合があるので使用しないでください。

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