おくすり服用の基本ですが、アルコールやたばこは医薬品の代謝分解に影響を及ぼします。
アルコールやたばこは、服用されているおくすりの効きめの強さが変わったり、思わぬ副作用を招くおそれがありますので注意しましょう。
具 体 例 | 影 響 |
抗ヒスタミン成分配合のかぜ薬とアルコール |
眠気・ふらつきなど |
テオフィリン配合のせき止め薬とタバコ |
テオフィリンの効果が弱まってしまう |
アルコールとおくすり
お酒とおくすりは分解代謝する酵素が同じものがあります。アルコールは、多くのお薬と相性の悪いものと覚えておきましょう。
医薬品の服用前後にアルコールを摂取するとお互いの代謝分解を妨げあって、おくすりの効きめの強さが変わったり、思わぬ副作用を招くおそれがあります。
解熱鎮痛成分アセトアミノフェン
胃を荒らさず安全性の高い解熱鎮痛成分として重宝されるアセトアミノフェンですが、お酒とは相性が悪いです。
飲酒によって肝臓の薬物代謝酵素の働きが高まると、肝臓でアセトアミノフェンが必要以上に代謝が進み効果が薄れるおそれがあります。
お酒が大好きなひとの「おくすりが効きにくい理由」
【疑問】市販薬や病院で処方されたおくすりを飲むときはそのときだけお酒を止めているけど、お酒の飲みすぎはおくすりの効き目が弱くなるって聞いたのですが。
たとえば、500mlのビールを毎晩3本とか、度数の高い焼酎・日本酒など1日平均エタノール60g以上を常飲しているような常習飲酒家さんだとその可能性が高くなる場合があります。
常習飲酒家さんがお酒を止めてもお薬が効きにくくなる理由は、アルコールもお薬も代謝する酵素MEOS(ミクロゾームエタノール酸化酵素系)がお酒を飲むことで活性が高まるからです。
MEOSの活性はアルコールに強くなるのと同時にお薬に対する耐性も上がってしまうため、薬が効きにくくなってしまいます。日常的におくすりを服用されている方はアルコールの量を少量にするか、できれば禁酒するのが望ましいです。
MEOSの活性は、1~2週間程度お酒をやめることで、徐々に低くなっていきますお酒を久しぶりに飲んだら酔いが回るのが早いのはこのことが原因です。
おくすりとタバコ
おくすりは、肝臓で代謝分解されます。
その際、おくすりの代謝にはCYP1A2という肝臓の酵素が関わってくるのですが、ヘビースモーカーの場合は喫煙によって肝臓の薬物代謝酵素の働きが高まっています。
必要以上におくすりの代謝が早い場合。同じ効き目のおくすりを飲んだとしても効果が出る前におくすりが代謝分解されてしますので、効き目が弱くなり、思ったとおりの効果が得られないおくすりがあります。
タバコとの飲み合わせに注意したい成分の一例です:かぜ薬・解熱鎮痛剤・鎮咳去たん薬・乗り物酔いの薬 など
タバコと相性の悪いおくすりの一例(市販薬)
鎮咳去たん成分テオフィリン・アミノフィリン
気管支を拡げて呼吸を楽にしてくれる鎮咳去たん薬にテオフィリン・アミノフィリンがあります。
テオフィリン・アミノフィリンは、喫煙によって肝臓の薬物代謝酵素の働きが高まると十分な効果が得られるまえに代謝分解されてしまうので効果が弱くなります。
一般的には、タバコを吸うひとと、吸わないひとでは約1.5倍~2倍程度効き目が違うと言われています。
サリチル酸系解熱鎮痛成分アスピリン・エテンザミド・サザピリン
一般的にアスピリン・エテンザミド・サザピリンなどサリチル酸系と呼ばれる解熱鎮痛剤製剤は胃に負担をかけやすく、胃腸障害を防ぐため注意事項にも食後の服用などの制限があります。
タバコの場合も、ニコチンが胃粘膜の血管を収縮させたり、胃酸分泌を促進する効果がありますので、タバコと解熱鎮痛剤の副作用が相互に影響し合って胃粘膜障害を引き起こす可能性があります。
継続的に医療機関に受診されている方へ
何らかの基礎疾患をお持ちで継続的な治療を受けられている方は、市販薬より医師による治療が優先されます。
あなたのかかりつけ医のお医者さんは、患者さんが日々お薬を飲んでいる前提で治療方針をきめています。医療用医薬品は症状を安定させたり、その治療の助けになるものです。もし患者さんが自己判断でお薬を中断した場合は誤った検査数値がでたり、症状が安定せず病気が悪化したりするおそれがあります。お薬を服用して副作用など体調が思わしくない場合は必ず受診して専門家の指示に従ってください。
妊娠または妊娠の可能性のある方へ
医薬品が人体に及ぼす作用はすべてが解明されているわけではありません。 妊娠している期間は母子共々とてもデリケートな状態ですので、赤ちゃんのためにも安易に市販薬に頼らず、かかりつけの専門医の指示を優先してください。
ご参考になれば幸いです。