お薬の疑問

熱中症の脱水症状にはスポーツドリンクより経口補水液で対策してください

2020-05-20

熱中症予防に水分をガブガブ飲まれる方もいらっしゃいますが、それは半分正解で半分間違いです。

私達の身体には、電解質が少なくなると水分と電解質のバランスを元に戻すために、「電解質と比べて多くなった水分を体から放出しやすくなるメカニズム」があります。

水分だけ大量に補給すると身体のなかの電解質の濃度がますます薄くなり、熱中症による脱水状態を加速させてしまいます(人間の体液は水分と電解質のバランスが一定に保たれています)

経口補水液は人の体液より低い浸透圧に整えられていて、スポーツドリンクよりも効率的に水分と電解質を補給することができます。

熱中症にスポーツドリンクではなく経口補水液を選ぶ理由

  • 経口補水液とスポーツドリンクの違いは電解質濃度の高さと低めに調整された糖分の濃度

人間の血液の浸透圧は、約285mOsm/L程度といわれています。血液や体液と同程度の浸透圧に調整されたものを【アイソトニック飲料】、血液や体液よりも低い浸透圧のものを【ハイポトニック飲料】と呼びます。

一般的に、体液の浸透圧より低い数値に設定されているものの方が吸収が早いです。経口補水液は、スポーツドリンクに比べてナトリウムやカリウムなどの電解質濃度が高く、電解質の吸収率も高いハイポトニック飲料になります。

また、経口補水液は、水と電解質を効率的に吸収できるように、スポーツドリンクと比べて糖濃度が低くなるように成分バランスが整えられています。

経口補水療法に基づき、経口補水液は過度の発汗によって不足している電解質を補い、脱水状態からの回復をサポートしてくれます。

スポーツドリンク・経口補水液の電解質濃度の比較

  • 市販のスポツドリンクでも電解質補給は行えますが、過度の発汗による脱水状態には経口補水液による電解質補給が適しています。

緊急医学会の「熱中症ガイドライン2015」の10ページによると、スポーツドリンクは塩分量が少なく糖分が多いため、水分の吸収効率が落ちると指摘しています。

熱中症の予防には、塩分と水分を適切に含んだ(0.1~0.2%の食塩水)か市販の経口補水液が望ましいとされています。

経口補水液(ハイポトニック飲料)は、運動や汗により電解質が多く排出され浸透圧が低くなったときにすみやかに吸収されます(軽度から中程度の脱水状態)

比 較 経口補水液 経口補水液 経口補水液
代表的な商品例
(500ml換算)
大塚製薬工場 経口補水液 オーエスワン 500mL丸PETx24本(ケース) 味の素 アクアソリタ 500mLx24本 コカ・コーラ アクエリアス 経口補水液 ペットボトル 500ml×24本
販売名 経口補水液
OSー1
味の素
アクアソリタ
アクエリアス
経口補水液
体液との浸透圧の比較
(約285)
低め
270
低い
175
低め
263
ナトリウム
(mg)
575
400 400
カリウム
(mg)
390
390 490
比 較 アイソトニック飲料 ハイポトニック飲料
代表的な商品例
(500ml換算)
大塚製薬 ポカリスエット 500ml×24本 コカ・コーラ アクエリアス エアーボトル 500ml×24本 ポッカサッポロ 塩JOY(エンジョイ)サポート 495ml×24本
販売名 ポカリスエット アクエリアス

塩JOYサポート

体液との浸透圧の比較
同程度 同程度 低い
ナトリウム(mg)
245 200 400
カリウム(mg)
100 40 100

経口補水液OSー1の特徴

熱中症になった際の応急処置(回復力)という点では、適度な糖分と3種類のなかで最もナトリウムが多い「OS-1」がおすすめできます。OSー1 は電解質を高濃度で配合していますので、夏の日差しで電解質を消費した身体に、水分と電解質をしっかりチャージできます。

ただし、OSー1はナトリウムやカリウムなどが高濃度で配合されている反面。その「しょっぱさ(塩辛さ)」に抵抗のある方も多いです。塩気が苦手な方は、ペットボトルタイプより味がマイルドになった「ゼリータイプのOSー1」を選んでください。

ゼリータイプはペットボトルのOS-1より塩気が薄く、甘味の薄いポカリスエットのような飲み口です。

薬局で一番売れているOS-1は、カバンに入れて持ち運びやすく。いざという時のためにさっと取り出せるパウチタイプが重宝します。
OS-1(オーエスワン)
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味の素アクアソリタの特徴

お年寄りやお子さんなど、OSー1やアクエリアス経口補水液は味が濃すぎて飲めないと感じられる方には「アクアソリタ」を選んでみてください。

アクアソリタは味の好みにもよりますが、お子さんにも人気の青りんご味(ゼリータイプ)など万人向けする経口補水液です。

「OSー1 」や「アクエリアス経口補水液」に比べると電解質は少なめですが、スポーツドリンクと⽐べれば2倍くらいの電解質が吸収できますので、真夏の熱中症予防にも活躍してくれます。

アクアソリタは浸透圧も175mOsm/kgと低く設定されていて吸収もよく、経口補水液独特の塩辛さも少なく飲みやすいです。
アクアソリタ
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経口補水パウダーダブルエイドの特徴

経口補水パウダーは、外周りのお仕事をされている方から家事をされる方まで。溶かす水の量を変えることで、塩分濃度が調整できる経口補水液です。

もし、ご自身の好みにあった濃度に調整したい場合でしたら、スティックタイプの経口補水パウダーを検討してみてください。

ただし、経口補水液は、冷蔵庫保管であっても空気中の雑菌が混入するおそれがあります。1日経って飲みきれない分は翌日に持ち越さす廃棄してください。

経口補水パウダーに限らず、OS-1など経口補水液は、開栓後1日以上経つと飲用に適さなくなります。

五洲薬品
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1包に対して溶かす水の量

  • 200ml(塩分濃度0.44%)WHO(世界保健機関)が推奨する経口補水液理論と同等の経口補水液が作れます。
  • 300ml(塩分濃度0.29%)一般的な経口補水飲料と比較して、塩分濃度が同程度の経口補水液ができます。
  • 500ml(塩分濃度0.17%)野外でのスポーツや作業など、発汗によって失われた水分補給に適したスポーツ飲料です。

アクアライトORSの特徴

アクアライトORSは乳幼児の軽度~中等度の脱水症に適している経口補水液で、一般的なイオン飲料(285mOsm/L)より低い200mOsm/Lに設定されています。

和光堂のアクアライトORSは、赤ちゃんの急な下痢やおう吐の際にお世話になったことがある方も多いのではないでしょうか。

アクアライトORS は、赤ちゃんでも飲みやすい塩辛くないリンゴ風味の経口補水液ですが、離乳開始前のお子さんに使う場合は、必ず専門家の指導を受けてからご使用ください。

よくある勘違いとして、普通のアクアライトは乳児用のイオン飲料(経口補水液ではない)ので、買い間違いには注意してください。

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ご参考になれば幸いです

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