お薬の疑問

【簡易版】消毒・殺菌・滅菌の強さの違い

2018-05-18

インフルエンザや、ノロウイルスやO-157など食中毒が流行る時期に感染予防のために「消毒・殺菌・滅菌の強さの違い」についてご質問を受けることがあります。

イメージ的には「減菌」を「除菌」と同じように捉えている方が多いのですが、原因となる細菌(微生物)の活動を弱めたり数を減らす強さでは「殺菌・消毒」より「減菌」が強くなります。

この記事では、おもに原因となる細菌(微生物)の活動を弱めたり数を減らする殺菌・消毒・減菌の違いについてご紹介します。

殺菌・消毒・減菌の違い

殺菌と消毒はセットに考えられることが多いですが、消毒は原因となる細菌(微生物)の活動を不活性化するもので、細菌の活動を弱め無害化することを指します。

それに対して殺菌は、特定の細菌(微生物)そのものを死滅させる処理のことを言います。さらに減菌は、すべての細菌を死滅させることで殺菌より強力な処理になります。

市販では滅菌という言葉は滅菌ガーゼなど除きあまり見かけませんが、例えば手術道具などは120℃の高温殺菌のほかに、オートクレーブと呼ばれる内部を高圧力にすることが可能な耐圧性の装置で30分程度処理したり、乾熱減菌の場合は200℃で30分処理したりと、「殺菌・消毒」では処理しきれなかった⽷状菌、細菌、ウイルスなどの微⽣物を徹底的に死滅させます。

まとめると殺菌と消毒は、薬剤を用いて細菌(微生物)の活動を弱体化したり数を減らすもの、滅菌は器具などの消毒に行われることが多くすべての微⽣物を殺減または除去することが多いです。

参考消毒・殺菌・滅菌の強さ⇒①滅菌>②殺菌>③消毒>④除菌

【参考】市販で殺菌消毒に使われる薬剤の一例

クレゾール石鹸液は結核菌を含む一般的な細菌・真菌類に対して殺菌・消毒効果を持つ薬剤です。

市販薬では大洋製薬のクレゾール石鹸液や、健栄製薬のクレゾール石ケン液Pなどが販売されています。

ただし、ウイルスに対する殺菌・消毒効果はありません。

エタノール・イソプロパノールは結核菌を含む一般的な細菌・真菌類のほかにウイルスに対しても不活性効果を持つ殺菌・消毒に使われる薬剤です。

市販薬では健栄製薬の消毒用エタノールやイソプロピルアルコール50%[P]などが販売されています。

エタノールに比べてイソプロパノールは安価ですが、イソプロパノールはエタノールに比べて脱脂力が強くウイルスの不活性効果が劣ります。

クロルヘキシジングルコン酸塩はエタノールに比べて肌に優しく、一般的な細菌・真菌類広範囲の微生物に対して短時間で効力を発揮します。

ただし、結核菌やウイルスに対する殺菌・消毒効果はありません。

次亜鉛素酸ナトリウムは強力な酸化力により一般的な細菌・真菌類のほかウイルス全般に対して殺菌・消毒効果を持つ薬剤です。

皮膚には有害なので人体には用いられませんが、ノロウイルスやO-157など食中毒が流行る時期には感染予防のため、嘔吐および下痢によって飛び散った吐瀉物(としゃぶつ)の殺菌・消毒に使われます。

市販されている次亜鉛素酸ナトリウムの商品にはハイターのほかに医療施設用 泡洗浄ハイター1000などがあります。

 

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