漢方薬の解説には、
- 「陰と陽」、「実証・虚証・中間証」、「気・血・津液(しんえき)」
- 補血の生薬:当帰(とうき)芍薬(しゃくやく)酸棗仁(さんそうにん)⻯眼⾁(りゅうがんにく)
- 補気の生薬:⻩耆(おうぎ)⽩朮(びゃくじゅつ)⼈参・⽢草(かんぞう)など。
パッと見イメージが湧かない単語の解説が並んでいて、漢方になじみのない方からすれば「それって意味があるの???」ってなりますよね。
漢方は体質にあわせて、「身体に足りていない栄養はつくり出し、余分なものは解消」する、身体の調子を正常に整える働きのあるものです。
漢方薬を選ぶ判断のポイントは「ご自身の証(体質)」が基準になるため、専門家の間でも「どうやったらイメージが伝わりやすいか」苦心するところです。
陰は身体を冷やす陽は身体を温めるはたらきのこと
「陰と陽」のバランスが取れていれば問題ないのですが、身体のなかで「陰陽」のどちらかが強くなりすぎると身体の変調の原因になります。
具体的には、体内で陰に偏りすぎると「冷え性」に悩まされます。逆に陽のちからが強すぎると熱を発散できずに「ほてり・のぼせ・むくみ」などの症状が現れます。
漢方薬の説明についてくる「気」は生命活動に必要なエネルギー全般。
「血」は必要なエネルギーを全身に運び老廃物を回収するもの。「津液」は血以外の体液で水分代謝や体温調整を司るものを指します。
実証は身体に余分なものが蓄積虚証は必要なものが不足した状態
例えば、薬用養命酒のCMで「未病(みびょう)」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
未病とは、身体に必要な栄養素がつくり出せていない(マイナスに偏っている状態)や、身体に余分なものが溜まって過剰な状態(プラス)のことを指します。
漢方薬では、からだの不調(未病)を陰(マイナス)と陽(プラス)の状態に区別し、どちらにも偏っていない理想の状態(中庸)に近づける働きをしてくれるものです。
「実証」は、心身に余分なもの(プラス)が溜まって不調の原因になっている状態のこと。
身体に必要なものが足りていないマイナスの状態を「虚証」と呼びます(中間証は陰と陽のバランスがとれた状態です)
漢方薬の実証と虚証の具体例
例えば、肥満や便秘を解消するナイシトールZやコッコアポ(防風通聖散)は、「余分なもの(プラス)を外に出す(過剰なものを解消)」する陽(実証向き)の漢方薬です。
反対に、冷え性などを改善する薬用養命酒は、14種類の生薬が体温を温めたり「身体に必要なものがつくり出せてない(マイナス)の体質(虚証)」を改善する医薬品の代名詞と言えます。
貧血に使われる「加味帰脾湯(かみきひとう)」を例に挙げると、足りない栄養素を作り出す造血効果は陰(マイナス)を解消するもので、貧血が原因のイライラなどを鎮める効果は陽(プラス)に分類されます。
漢方薬は、体質にあわせて実証・虚証・中間証に分類され、さらに「気虚・陽虚・血虚・陰虚(気・血・水のどれかが足りないこと)」や、逆に「気滞・血瘀(けつお)・湿痰(水毒)」など代謝が上手くいっていない原因を解消するために処方されます。
漢方薬の満量処方は日本薬局方に登録された製法通りの最⼤量
満量処方とは、漢方薬を精製するにあたって日本薬局方に登録された製法通りの最⼤量が含まれた商品のことを指します。
日本薬局方には、どの⽣薬を何グラム使⽤するかということが細かく定められています。OTC医薬品には同じ名前の漢方製剤でも、「満量処方」のほかに、「3/4処方」や「2/3処方」「1/2処方」などがあります。
どのメーカーもエキス量と生薬量を「満量処方」にしないのには意味があります。例えば量が多ければ下痢になりやすい方もいらっしゃいます。
その場合は「満量処方」より「3/4処方」や「1/2処方」の方がお腹が緩くなるデメリットを減らせます(1日3回食前または食間に、水か白湯(さゆ※お湯です)で服用)
漢方薬は「生薬の量が多ければ多いほど効く」とゆう訳でもありません。ご自身の体質にあった「生薬の量」をチョイスしてください。
ご参考になれば幸いです