貧血のくすり

【ヘモグロビン・フェリチン】貧血の症状がない鉄不足と鉄欠乏性貧血の違いについて

2018-07-30

貧血予防に欠かせない鉄分ですが、体内の鉄不足には貧血の症状がない鉄不足と、鉄欠乏性貧血の原因になる貯蔵鉄の減少があります。

鉄不足の貧血は急に起こるものではなくて、肝臓などに蓄積された貯蔵鉄がある程度まで不足すると貧血の症状がでます。

例えば、貯蔵鉄通常より少ない状態を潜在性鉄欠乏性貧血といって、この時点では貧血症状は現れません。

潜在性鉄欠乏性貧血は、貧血のない鉄欠乏状態のことです。おもにヘモグロビンの量が正常より少ない状態を指します。

一般的な鉄欠乏性貧血は、赤血球の材料のヘモグロビンを造るために必要な鉄(貯蔵鉄)が不足すると貧血の症状が出てきます。

病気が原因の貧血は自覚症状が強くでますが、鉄不足による貧血は少しずつ進行していくので自覚症状が悪化するまで気づかない人も多いです。

メモ

血液中に含まれる鉄分・・・ヘモグロビン鉄(約2500mg)組織鉄など(約220mg)微量の血清鉄
肝臓・脾臓・骨髄・筋肉などに蓄えられている鉄分・・・貯蔵鉄(約1000mg)

鉄欠乏性貧血を起こさないための貯蔵鉄について

  • 鉄分は体内にヘモグロビンという形で存在しています(ヘモグロビンは赤血球を造る材料になります)
慢性的な鉄不足が続くと、ヘモグロビンという形で蓄えられた貯蔵鉄が減少していきますので赤血球を造る材料が足りなくなります。

赤血球は骨髄で造られてから120日程度で寿命を迎えます。赤血球の材料のヘモグロビンは、約65%が血液中。残りの35%は、肝臓・脾臓・骨髄・筋肉などに蓄えられています。

必要な鉄分が不足している状態が続くと、身体は緊急用に蓄えられた貯蔵鉄(約1000mg)を取り崩して鉄分を補給します。

ヘモグロビンは①貯蔵鉄→②血清鉄→③ヘモグロビン鉄→④組織鉄の順番で減少していくのですが、鉄分の多い食事で改善できるのは①貯蔵鉄→②血清鉄までです。

鉄欠乏性貧血によるヘモグロビンとフェリチン濃度の減少

  • 慢性的な鉄不足を放置すると全身に酸素と栄養素を運ぶ赤血球が少なくなり貧血の症状が重く出やすくなっていきます
体内の貯蔵鉄が十分蓄えられているかどうかは、血清のフェリチン濃度を調べることでわかります(血清のフェリチン濃度は、貯蔵鉄の量に比例しています)

例えば、一般的な方の場合だと、ヘモグロビンが12g/dL以上・フェリチンの濃度も12ng/mL以上が保たれています(多少個人差はあります)

この状態から鉄分が慢性的に不足し始めると、フェリチンの濃度は変わりませんが、ヘモグロビンが12g/dL以下に下がっていきます(貧血がない鉄欠乏状態)

さらに、貯蔵鉄通常より少ない潜在性鉄欠乏性貧血が悪化すると、ヘモグロビンが12g/dL以下、フェリチンの濃度も12ng/mL以下の鉄欠乏性貧血になります。

鉄欠乏性貧血の自覚症状

当てはまる数が多いと身体のなかの鉄分が不足している可能性があります。また、こちらに挙げた自覚症状に当てはまらなくても貧血の可能性があります。
  • 頭痛・耳鳴り・肩が重い
  • ふらつき・めまい(立ちくらみ)
  • 動悸・息切れ
  • 下まぶたの色が白っぽい
  • 目につく枝毛・白髪が急に増えた
  • 疲れやすい・疲れが長引く・慢性的な疲労感
  • 眠れない・睡眠が浅くなる・よくあくびがでる
  • 爪がもろくなってちょっとしたことで割れたり欠ける
  • 爪の真ん中が浅くくぼんでいる(スプ-ン爪)
  • 集中力の低下・イライラ・気分が落ち込む
  • 血色が悪く顔が青白い・お肌にツヤがなく乾燥しがち
  • 寒さに弱くなる・冷え性・朝起きるのが辛い
  • 口内炎・舌炎が頻繁にできやすい
  • 嚥下障害・泥や粘土、氷などが食べたくなる異食症など

 

 

ご参考になれば幸いです

 

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