便秘のくすり

市販の便秘薬の種類と選ぶときに参考になる効き目の違いをご紹介

2018-09-27

便秘で数日から1週間お通じがないと、ある夜お腹の圧迫感で飛び起きて、

強烈な吐き気と気持ち悪さにトイレで冷や汗をかきながら一時間以上苦しんだという経験がある人もいますよね。

何日も出ていないと、腸が便の水分を吸い尽くしてカチカチになっているので、便意はあっても、ちょっとやそっとじゃ出てくれません。

腸をびっくりさせるためにキンキンに冷えた氷水を飲んだり、お腹を揉んでも出ないので、便秘薬を常備しているという人もいらっしゃるのではないでしょうか。

市販薬を商品名で漠然と使っている人もいるなかで、気になるのは便が出にくくなる副作用の心配ですよね。

この記事では、便が出にくくなる習慣性の有無や、便秘薬がどのようなはたらきをするのかご紹介します。

代表的な便秘薬のはたらき

飲み薬の場合ですと、おもに3つのはたらきをする便秘薬があります。
  • 塩類下剤は、カチカチになった便に水分を吸い込ませて、便をやわらかく出しやすくします。
  • 膨張性下剤・浸潤性下剤は、便の体積を膨らませて、腸を物理的に刺激して排便を促します。
  • 刺激性下剤は、お薬の成分で腸を刺激して、便を出しやすくするぜん動運動を活発にします。

塩類下剤

塩類下剤は、酸化マグネシウムなどミネラルを含んだ便秘薬のことです。

 

塩類下剤を使用した便秘薬には身体のなかの水分を腸に引き寄せやすい性質があり、

腸管内でカチカチになった便を水分でやわらかくして出しやすくします。

 

水分で体積が大きくなった便は腸を刺激して、排便を促すぜん動運動が活発になります。

塩類下剤は身体のなかに吸収されにくく、水分をたっぷり含んだ便と一緒に排出されます。

塩類下剤はたっぷりの水分を必要とするので、気持ち多いいかなと思う水分と一緒に服用してください。

便が出にくくなる習慣性がなく、便秘になりやすい授乳中のお母さんやご高齢の方によく使われる成分です。

酸化マグネシウム・水酸化マグネシウム・硫酸マグネシウムなど。

便が出にくくなる習慣性がない便秘薬です。

  • ミルマグ液
  • スラーリア便秘内服液
  • 酸化マグネシウムE便秘薬など

代表的な市販薬

関連記事【授乳中】病院のミルマグ錠やマグミット錠と同じ成分の便秘薬

膨張性下剤

膨張性下剤は、便の体積を大きく膨張させて排便を促す便秘薬です。

 

膨張性下剤として使われているプランタゴ・オバタ種皮は、腸のなかに成分が運ばれると水分を集めて大きく膨らみます。

カルメロースナトリウムは、水分を吸ってジェル状になった成分が便と混ざりあって、便そのものをやわらかく膨張させます。

 

膨張性下剤は、便が大きくなることによって腸のぜん動運動が起こり便秘が解消されます。

服用するときは、塩類下剤と同じく多目の水分を服用してください。水なしで飲むと食道や腸が成分で詰まってしまう可能性があります。

市販薬に使われている成分です。

プランタゴ・オバタ種皮・カルメロースナトリウム(カルボキシメチルセルロースナトリウム)

便が出にくくなる習慣性は少なめです。

代表的な市販薬

  • サトラックス
  • サトラックスビオファイブ
  • 新ウィズワン(センノシドを含む)など

浸潤性下剤

便の水分量を増やして、便の腸管内の移動を滑らかにする作用のある成分です。

 

粘滑性下剤とも呼ばれていて、腸管内に固くへばりついた便のすべりをよくして便の排出を助けます。

ジオクチルソジウムスルホサクシネード(DSS)自体は、下剤としての作用は弱く、ほかの便秘薬の補助的な成分として使われています。

市販薬では、ジオクチルソジウムスルホサクシネード(DSS)が配合されています。

便が出にくくなる習慣性は少なめです。

代表的な市販薬

  • コーラックⅡ(ビサコジルの補助成分として)
  • スルーラックプラス(センノサイドカルシウム・ビサコジルの補助成分として)
  • サトラックスエース(ビサコジルの補助成分として)など

大腸刺激性下剤

大腸刺激性下剤は、腸(結腸や直腸の粘膜)の副交感神経を刺激して便を排出するぜん動運動を起こさせる便秘薬です。

  • ビサコジル
  • ピコスルファートナトリウム
  • ダイオウ
  • アロエ
  • カサントラノール
  • センナ・センノシド・センノシドA・B・センノシドカルシウム

大腸刺激性下剤は、成分の刺激で便を出すため、長期間の服用は便が出にくくなる習慣性があります。

また、酸化マグネシウムなどの非刺激性便秘薬と比べるとお腹が痛くなることが多い成分です。

長期間の服用で便が出にくくなる習慣性があります。

代表的な市販薬

  • スルーラックS
  • 本草センナ末
  • 三快錠など

関連記事【便秘薬】ビサコジルとピコスルファートナトリウムの効き目の違い

小腸刺激性下剤

トウゴマという植物の種子から取れる油で、食中毒など緊急を要するとき使われる下剤です。

大腸刺激性下剤と違って小腸に作用するので、短時間で効果が現れやすく原因菌を排出するときに使われます。

ヒマシ油は効果が急激に現れる成分ですが、日常の便秘解消に使われるものではありませんので使用しないでください。

市販薬では、ヒマシ油(加香ヒマシ油)が配合されています。

続けて何回も使用するものではありません。

メモ

日本薬局方加香ヒマシ油

マルツエキス

赤ちゃんの便秘解消に使われる成分で、中身の60%以上は麦芽糖です。

マルツエキスが乳幼児のお腹のなかで穏やかに発酵して、腸の緩やかなぜん動運動が起こります。

大人の方が使用しても、便秘解消の効果はありませんのでご注意ください。

代表的な市販薬

  • 和光堂 マルツエキス・スティック

漢方便秘薬

東洋医学では、心身に余分なものが溜まって不調の原因になっている状態のことを「実証」、身体に必要なものが足りていないマイナスの状態を「虚証」と呼びます。

  • 便秘解消に効果の高い漢方薬:大黄甘草湯・調胃承気湯など

大黄甘草湯や調胃承気湯には、ダイオウとカンゾウという生薬が配合されていて、ダイオウは排便を促すはたらき、カンゾウは生薬の相互作用などバランスを取るものです。

 

調胃承気湯は、排便を促す大黄甘草湯に消化器を元気にする芒硝(ボウショウ)を加えたもので、身体に必要な胃腸機能を強化し、身体に溜まった余分なもの(便)を排出するはたらきを助けてくれます。

常用すると便が出にくくなる生薬を配合しています。

代表的な市販薬

  • タケダ漢方便秘薬(大黄甘草湯)
  • ワカ末漢方便秘薬(調胃承気湯)

炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム

坐薬に配合されていて、高齢者、妊産婦にもご使用いただける自然に近いお通じの便秘薬です。

坐薬を挿入後、腸管内で炭酸ガスを発生させて、その刺激で腸のぜん運動を促進させます。

「炭酸ガスだから便が出にくくなる心配がない」と誤解される方もいらっしゃいますが、長期間使用すると腸が刺激に慣れて便が出にくくなる習慣性があります。

約10分から30分程度で効果が現れます。

常用することで便が出にくくなる習慣性があります。

代表的な市販薬

  • ウィズワン坐剤
  • 新レシカルボン坐剤S

浣腸剤

人の身体の浸透圧との差を利用した下剤です。成分が腸管内に入ると浸透圧の関係で薬液と一緒に便を排出させます。

浣腸剤は内服薬より即効性が高く、使用後3~10分程度で便意を感じますが、すぐに出してしまうと薬剤だけが出てしまいます。

薬剤と一緒に便が出るように、1~2分の間だけ便を出すのを我慢してください。

浣腸薬は常用することで便が出にくくなる習慣性があります。

メモ

代表的な市販薬

  • イチジク浣腸
  • コトブキ浣腸

 

 

ご参考になれば幸いです

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