皮膚トラブルのくすり

【塗り薬の誤解】ステロイド配合の皮膚薬は副作用が怖くて使えないという方へ

2019-04-25

「脱ステ」という言葉に代表されるように、ステロイドは副作用のイメージが先行して怖いお薬と思われている方が多いですよね。

パソコンやスマートフォンの普及に伴い、ステロイドを使用したことよる副作用などネガティブな情報にアクセスしやすくなった分。その傾向はより顕著になりました。

市販の皮膚薬にはステロイドと非ステロイドの2種類が販売されていますが、市販のステロイドは使用上の注意を遵守すれば効果が高い安全な医薬品になります。

この記事では、ステロイド配合の塗り薬は怖くて使えないと誤解されている方に向けて、ステロイドの安全性についてご紹介します。

ステロイドは人体に必要な副腎皮質ホルモンと同じものです

  • 市販の皮膚薬に配合されているステロイドは副腎皮質ホルモンの一種である糖質コルチコイドを湿疹・皮膚炎などの治療薬として利用したものになります

湿疹・皮膚炎などの皮膚薬をお求めに来られる方のなかには、「非ステロイドの塗り薬はどれになりますが」と非ステロイドの治療薬を指名買いされる方もいらっしゃいます。

副作用の恐ろしい成分と誤解されがちなステロイドですが、ステロイドは腎臓の上側にある副腎と呼ばれる臓器から作られる副腎皮質ホルモンの一種です。

副腎皮質ホルモンの一種である糖質コルチコイドは、腫れや痛みを抑える抗炎症効果を持っていて、身体本来の自然治癒力を助けてくれます。

ステロイド剤には、効果の高いものから弱いものまで数⼗種類あります。最も強いⅠ群から最も効果が穏やかなⅤ群の5段階のうち、市販の皮膚薬に配合されているのはⅢ群までです。

参考公益社団法人福岡薬剤師会「副腎皮質ステロイド剤(外用薬)のランク分類と副作用・使用方法」(タップorクリックで外部サイトに移動します)

ステロイドの代表的な副作用は長期間大量に使用することで起こります

  • 市販のステロイド剤(塗り薬)に限っては定められた用法用量に従った利用であれば副作⽤の発現はまれです

医療機関でのステロイド治療と異なり、市販のステロイドは短期間および少量の使用にとどまることが多く、副作用の発現率は低いです。

ステロイドの副作⽤として代表的なものを挙げると、ムーンフェイス(⽉のように顔が丸くむくんだり腫れあがる)や胃潰瘍。⾼⾎圧、糖尿病、⾻粗鬆症などがあります。

これらの症状は、リウマチなどの膠原病、喘息、ネフローゼ、重度のアトピー性⽪膚炎など。医師の管理下で処方されるステロイド剤の点滴や内服薬で起こりやすいです。

また、皮膚関連でもステロイドによる皮膚の黒ずみ(色素沈着)が有名ですが、色素沈着はステロイドによる副作用ではありません。

色素沈着は、炎症の跡である炎症後色素沈着や、皮膚を掻いたりこすったことによる摩擦性の色素沈着であることが主な原因とされています。

注意顔の赤み、毛細血管拡、真菌感染、肌荒れ、多毛、紫斑など副作用が疑われる場合は、短期間の使用でもすみやかに医療機関での診察を受けてください。

市販のステロイド配合の皮膚薬に依存性はありません

  • ステロイドは、湿疹・皮膚炎など皮膚の炎症を抑える抗炎症効果の高い医薬品ですが症状が完治すれば塗り続ける必要はありません

ステロイドに恐怖心を抱いている方のなかには、ステロイドは一度使ってしまうと延々と塗り続けないといけないと勘違いされている方がいらっしゃいます。

難しい理屈は割愛しますが、湿疹・皮膚炎など皮膚の炎症は肌の内側で燃えさかる炎のようなものです。燃えさかる炎が鎮火していないのに消火活動を止めると再び発火するのと同じです。

ステロイドは、症状に見合った強さの薬剤を選べは短期間で効果を発揮し炎症を鎮めてくれます。湿疹・皮膚炎などがしっかり治っていればステロイドを止めてもぶり返すことはありません。

市販の皮膚治療薬(ステロイド配合)は、短期間の使⽤でしっかり効果を発揮して、湿疹・皮膚炎などの皮膚トラブル(軽度)を早く治すことができます。

病院で処方されるステロイドと市販のステロイドの強さの違い

  • Ⅰ群のストロンゲストとⅡ群のベリーストロングは、病院でのみ処方されるステロイドです

ステロイドは、Ⅰ群の最も強い(ストロンゲスト)から、Ⅱ群(ベリーストロング)Ⅲ群(ストロング) Ⅳ群(マイルド)Ⅴ群(ウィーク)の5段階に分かれます。

ときおり病院で処方された塗り薬の代替薬として、市販のステロイドをお求めに来られる方がいらっしゃいますが、市販薬にはこの強さの成分はありません。

処方薬は自己判断で中止すると症状が悪化する場合がありますので、副作用が発現した場合はかかりつけの医師の指示を仰いでください。

Ⅲ群:強い(ストロング) Ⅳ群:穏やか(マイルド)Ⅴ群:弱い(ウィーク)は、市販薬でも販売されている強さのステロイドです。

市販薬のステロイドは、肌に合わない場合は自己判断で中止していただいて構いません(ただし、処方薬のⅢ群~Ⅴ群のステロイドは自己判断で中止しないでください)

関連記事【受診勧奨】アトピー肌の方に市販のステロイド塗り薬を使用するのは逆効果です

 

 

ご参考になれば幸いです

-皮膚トラブルのくすり