皮膚トラブルのくすり

化膿部位にも使えるステロイド配合皮膚治療薬の一例

2017-06-08

湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましんなど。ステロイドは非ステロイドと比べて炎症を鎮める抗炎症効果が高い成分です。

多種多様な皮膚疾患に効くステロイドですが、ステロイドは化膿した患部に使用すると症状が悪化するので使えません。

患部が化膿している場合は、ステロイドと抗菌作用のある抗生物質の配合された皮膚薬を選んでください。ステロイド配合の皮膚薬は、抗生物質配合することで、化膿を伴う湿疹・皮膚炎の治療に使えるものもあります。

この記事では、化膿している患部にも使えるステロイドの皮膚薬をご紹介します。

医療機関でステロイドを処方されている方へ

よく副作用が気になるからと処方された強いステロイドの使用を止めたり、応急処置的に市販薬ステロイドをお求めになられる方をお見かけします。

ステロイドは炎症の元を鎮めるおくすりです。原因が治りきっていないのに、処方されたステロイドの使用を止めてしまったり、処方されたステロイドより弱いステロイドを使用した場合。

ステロイドのおかげでおさえられていた皮膚トラブルの原因が再発してリバウンドで皮膚炎が悪化することがあります。

ステロイドは依存性など止めれないものではなく、炎症の原因がなくなれば自然に必要なくなるので、慢性化しないためにも、市販薬に頼らず医療機関の指示にしたがってください。

ステロイドの強さ

ステロイドの強さ【5 段 階 】 処方薬と市販薬
  Ⅰ群:最も強い(ストロンゲスト)   病院で処方してもらうお薬で市販薬にはこの強さの成分はありません。
  Ⅱ群:より強い(ベリーストロング)
  Ⅲ群:強い(ストロング)
  市販薬でも販売されるカテゴリーです。処方薬にも同じ強さの医薬品があります。
  Ⅳ群:穏やか(マイルド)
  Ⅴ群:弱い(ウィーク)

同じ成分でも、軟膏剤とクリームなどおくすりの剤形が違うだけで作用の強弱が異なるものがあります。

田辺三菱製薬 フルコートf

赤み・腫れなど炎症を抑える抗炎症効果が高いフルオシノロンアセトニドと、化膿の原因になる多くの細菌に抗菌作用があるフラジオマイシン硫酸塩(抗生物質)を配合した皮膚薬です。

刺激に敏感な化膿した患部にも使えるように、アルコールを使用しない軟膏タイプの基剤を使っています。軟膏は伸ばしにくい難点はありますが、弾力があり皮膚を保護する効果が高くなります。

フルコートfに配合されているステロイドは、市販薬のなかで最も強いⅢ群(ストロング)を使用していますが、患部で効果を発揮して、体内に吸収されると弱いステロイドに変化するアンテドラッグステロイドを採用しています。

第一三共ヘルスケア ベトネベートN軟膏AS

化膿を伴う湿疹、皮膚炎の治療するベタメタゾン吉草酸エステルと、フルコートfと同じフラジオマイシン硫酸塩(抗生物質)を配合した皮膚薬です。

こちらも、アルコールを使用しない軟膏タイプの基剤を使っていますので、ジュクジュクした患部に誤使用いただけます。フルコートfと比べると白色半透明なので、目立ちにくい皮膚薬です。

ベタメタゾン吉草酸エステルも、フルコートfと同じアンテドラッグステロイドを採用しています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン テラ・コートリル軟膏a

テラ・コートリル軟膏aは淡い黄色味かかった軟膏で、グラム陽性菌及び陰性菌などに広い抗菌力を示すオキシテトラサイクリン塩酸塩(抗生物質)を配合しています。

テラ・コートリル軟膏aに配合されたヒドロコルチゾン(副腎皮質ステロイド)は、フルコートfやベトネベートN軟膏ASに使われているステロイドと比べると抗炎症効果が弱めになります。

フルコートfやベトネベートN軟膏ASに配合されたステロイドは  Ⅲ群:強い(ストロング)、  テラ・コートリル軟膏aに使われているステロイドはⅤ群:弱い(ウィーク)です。

患部の保護にロコベースリペアクリーム

医薬品ではありませんが、弱った皮膚を外部刺激から保護するラッピング効果が高い保湿剤です(皮膚を治療するお薬は入っていません)

ステロイドを塗った上から使用できるので、患部のかき壊しやジュクジュクがひどい方に人気の商品です。ステロイドと違って全身に広く塗れますので、皮膚の保湿剤としてご利用ください。

ステロイドをたくさん塗りすぎたら心配という方に

ステロイド剤に限らず軟膏やクリームなど塗り薬を使うの目安として、フィンガーチップユニットという考え方があります。

人差し指の第一関節の長さを基準に薬剤を出すと約0.5gくらいになります。大人の方でしたらそれを掌2枚くらいの範囲に伸ばして使用するのが適切な使用量です。

ただし、市販薬で顔の赤み、毛細血管拡、真菌感染、肌荒れ、多毛、紫斑など副作用が疑われる場合は、使用をすぐに中止し医療機関の診断を受けてください。

ステロイドは皮膚の薄さによっても吸収率が異なります

たとえば、「腕、足、胴体」など比較的皮膚が厚いところに使った同じ強さのステロイド剤を、余っているからと「顔、首、脇の下、腕、足の関節の内側、外陰部」皮膚の薄いところに使うと効果が強く出てしまいます。

同じおくすりでも、皮膚の厚い順番に、「手のひら、足の裏」→「腕、足、胴体」→「顔、首、脇の下、腕、足の関節の内側、外陰部」と後にいくほど薬の効果が強く出ることを覚えておいてください。

乳幼児は大人に比べて皮膚が薄いので、弱いおくすりが用いられます。

ステロイドの使用を避けたほうがよいもの

ヘルペスやみずむしなどの感染症の患部には使わないでください。逆効果で症状がひどくなります。ただれや湿潤のひどい患部や、その人の掌5枚分を超える広範囲の患部には使用しないでください。

目の周囲など皮膚が薄い部位に塗ると効果が出すぎる場合があります。ステロイド薬は症状が拡がらないよう予防の目的で患部の周りやそれ以外に塗るのは間違いです。塗布する時は、患部だけに薄く適量を塗りましょう。

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