昨今のデング熱やジカウイルス感染症(ジカ熱)、マダニにかまれて感染するダニ媒介性脳炎(重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など。
ニュース報道を受けて、早い時期から感染のリスクを減らすために感染予防対策に余念のない方が増えています。
過去には安全性の面の観点から、日本のディートの配合量は、世界的に見れば30%程度に対して日本の成分濃度は12%(最大濃度)と低く抑えられてきました。
ただし昨今では、厚生労働省が感染予防対策として、申請があれば通常は半年程度かかる審査期間を短縮する旨の通達を出したおかげで、ディートは30%、イカリジンは15%の高濃度配合商品が販売されています。
人体用害虫忌避剤として有効成分の高いディート(30%)や、2015年に認可されたイカリジン(最大濃度15%)の虫よけスプレーを指名買いしている方が多く見受けられますので、
この記事では、ディートとイカリジンの違いについてご紹介します。
高濃度イカリジンとディートの違い
イカリジンとディートでは、イカリジンが4種類、ディートが9種類と虫よけ対象となる害虫の種類に差があります。
また高濃度イカリジンが赤ちゃんから使えるのに対して、高濃度ディートは石油類のため12歳以下のお子さまには使えない使用制限があります。
2016年に販売を開始した当初は濃度5%と低く、その効能の持続効果に不満を持つ方もいらっしゃいましたが、イカリジン15%とディート30%が同等の効果があります。
濃度が高い方が効果が高いと誤解されがちですが、濃度による虫よけ効果に差はなく、濃度が高くなればなるほど持続時間が延びるのが特徴です。
5%イカリジンの効き目は2時間程度と非常に短いのがネックでしたが、15%と濃度が増したイカリジンの新商品は約6~8時間程度長続きするようになっています。
ディート30%の虫よけ薬
例えば、アース製薬のサラテクト リッチリッチ30の場合ですと容量が多いので、旅行中1本あればご家族みんなの使用分をカバーできます。
また、ディートのお肌への刺激性を緩和するため、お肌のうるおい成分(PPG・ヒアルロン酸Na・ビタミンC・モモ葉エキス)を配合しています。
ただし濃度が高いディート30%製品は、12歳以下のお子さんには使用しないでください。
ディート30%製品
- キンチョー プレシャワー30EX
- アース製薬 サラテクトミスト リッチリッチ30
- アース製薬 サラテクト リッチリッチ30
- フマキラー スキンベーププレミアム
- 池田模範堂 ムヒの虫よけムシペールPS30
- 池田模範堂 ムヒの虫よけムシペールα30
イカリジン15%の虫よけ薬
イカリジンは使用年齢や塗る回数に制限がなく、ディートに比べて肌への刺激も穏やかです。
例えば、天使のスキンベープ ジェルプレミアムは、皮膚アレルギーテスト済・ヒアルロン酸配合で、お肌にしっとりなじみます。
ジェルタイプはスプレータイプのように薬剤が舞い散らず、コンコンせき込まなくて済むので重宝します(スプレータイプにありがちな液漏れの心配なし)
天使のスキンベープ ジェルプレミアムは虫よけ特有の匂いもなく、ほのかなベビーソープの香りなので、赤ちゃんが嫌がらないので満遍なく塗りやすい商品です。
イカリジン15%製品
- キンチョー お肌の虫よけ プレシャワーPRO イカリジン
- フマキラー 天使のスキンベープ プレミアム スプレー・ミストスプレー・ジェルタイプ
イカリジンとディートの虫除け効果が認められた害虫
30%濃度のディートと15%のイカリジンが同等の効果がありますが、ディートとイカリジンでは対応できる害虫の種類に差があります。
イカリジンは蚊・ブヨ・アブ・マダニの4種類で、ディートは蚊・ブユ(ブヨ)・アブ・ノミ・イエダニ・マダニ・サシバエ・トコジラミ(ナンキンムシ)・ツツガムシの9種類です。
イカリジンやディートは、二酸化炭素や体温に反応して近づいてくる害虫の脳に作用して、人の呼気に含まれる二酸化炭素や体温を察知しにくくさせる作用があります。
害虫の危険が少ない普段使いの場合はイカリジンで十分ですが、キャンプ、トレッキング、熱帯地域など害虫の種類が多い外国ではディート(12歳以上)を使用するなど、状況によって使い分けてください。
イカリジンもディートも、ハーブような植物由来の「虫が嫌がる匂いで虫を寄せつけなくする忌避剤」より効果は高くなります。
カリジンとディートの肌への刺激性と臭いの違い
ディートは、虫の多い熱帯地域も含め世界中でも使われている効果の高い有効成分なので効果は折り紙つきです。
ですが、高濃度ディートは、赤ちゃんを含め小さなお子さんやお肌がデリケートな方には不向きです。
石油系特有のディートのツーンとした匂いに比べて、イカリジンは無臭に近く不快感も少なくなります。
肌への刺激もディートがまれに皮膚や粘膜に炎症を起こすのに対してイカリジンは肌への影響も少なく安全性が高くなっています。
(参考)イカリジンの安全に対する審査報告書【独立行政法人医薬品医療機器総合機構】