下痢を止めるおくすり

ノロウイルスやO-157罹患時のスポーツドリンクは下痢を悪化させます

2017-10-05

厚生労働省が発表している「食中毒統計資料」によると、毎年11月から4月はノロウイルスなどウイルス性食中毒。気温の高い夏場は細菌性の食中毒の発生件数が跳ねあがる傾向にあります。

水分と同時にてっとり早く電解質を摂ることのできるスポーツドリンクですが、ノロウイルスやO-157罹患時にはスポーツドリンクは向いていません。

ノロウイルスやO-157罹患時は、スポーツドリンクによる水分補給で「下痢による脱水症状」が悪化する場合があります。

ノロウイルスやO-157罹患時は、OS-1などの経口補水液を利用してください。

スポーツドリンクが駄目な理由は浸透圧性の下痢

ポカリスエットやアクエリアスなどに代表されるスポーツドリンクは、電解質のほかに糖質が多く含まれています。

 

ジュースの飲みすぎなどで経験した方も多いと思いますが、身体で吸収し切れなかった糖質は浸透圧性の下痢を引き起こします。

 

ノロウイルスやO-157による激しい下痢・おう吐に加えて、浸透圧性の下痢も追加されると、水分と電解質のバランスがさらに乱れて「下痢による脱水症状」が悪化するおそれがあります。

対処法

スポーツドリンクは、ナトリウムやカリウムなどの電解質の量が多く、電解質吸収率も高いです。ですが、ノロウイルスやO-157による激しい下痢・おう吐にはスポーツドリンクを使用せずOS-1などの経口補水液を利用してください。

ウイルス性胃腸炎の際の経口補水液

経口補水液はスポーツドリンクのように量を飲む必要はありません。ノロウイルスなどウイルス性胃腸炎のときはゼリータイプの経口補水液でも脱水症状を防げます。

 

薬局で最も売れてているOS-1(ゼリータイプ)は、ペットボトルのOS-1より塩気が薄く、甘味の薄いポカリスエットのような飲み口です。

 

また、お年寄りやお子さんには、OSー1より口当たりがよく。万人向けする青りんご味の経口補水液(ゼリータイプ)が喜ばれます。

スポーツドリンクより経口補水液がおススメな理由

経口補水液は水分と電解質を効率よく補給できるよう調整されたものです。人間の血液の浸透圧は280mOsm/L程度といわれていて、血液や体液と同程度の浸透圧に調整されたものを『アイソトニック飲料』、血液や体液よりも低い浸透圧のものを『ハイポトニック飲料』と呼びます。

 

浸透圧は低いところから高いところに集まる習性があるので、血液や体液より浸透圧が高いと体外に出て行きやすいです。一般的に経口補水液は体液より低い浸透圧に設定されているものが多く、身体に吸収されやすい『ハイポトニック飲料』なので、浸透圧性の下痢がおこりにくくなっています。

 

また、経口補水液はスポーツドリンクに比べて、電解質と水分のバランスがよく、電解質自体の吸収率も高いのが特徴です。

水分補給で脱水症状はなぜ起こるの?

下痢・おう吐によって体から電解質が大量に失われます。血液中の電解質(主にナトリウム)の濃度の低下は脱水症状を引き起こします。

 

人間の体液のバランスは一定に保たれていて、電解質が減少したら水分と電解質のバランスを元に戻すため水分を体の外に放出しやすくなるメカニズムがあります。

 

水分だけを大量摂取していると、電解質の血中濃度が下がり、さらに水分を出そうとして脱水症状が悪化する場合があります。

 

電解質は水分を体内に保とうする性質があります。電解質といっしょに水分を補給することで、不足した水分を効率よく補給することができます。

簡易経口補水液で代用していいですか

簡易経口補水液は、市販のものと比べて電解質の吸収率が低く保存ができないので応急的なものです。

ご自宅で作れる簡易経口補水液は浸透圧の調整しにくいので、流行期には市販の経口保水液を準備していた方が安心です。

 

【参考】簡易経口補水液の作り方・・・お水1リットルの場合

  • お水・・・一度火に掛けて沸騰させて冷ましたお水か硬度の低い軟水(硬水だとカルシウムなどミネラル分が多く含まれるため)
  • お塩・・・小さじ1/2(3g)
  • 砂糖(上白糖)・・・大さじ4と1/2(40g)

材料は水1に対して塩分0.3、砂糖4の割合で分量をきっちり計って均等に混ざるまでかき混ぜてください。

 

ご参考になれば幸いです。

 

 

 

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