遠く離れた実家への帰省など、長距離移動の際には乗り物酔いのお薬にお世話になることが多いですよね。
酔い止めの市販薬は、抗ヒスタミン成分など「ほかの市販薬と重複する成分」も多いため服用には注意が必要な場合があります。
例えば、春先の花粉症のシーズンに重宝する鼻炎薬もそうですし、かぜ薬やせき止めなどにも酔い止めと重複する成分が使われています。
乗り物酔いの市販薬服用に注意が必要な方について
トラベルミンやアネロンなど。酔い止めの市販薬には、乗り物酔いを予防する抗コリン成分や、酔ってしまったあとに症状を緩和する抗ヒスタミン成分が配合されています。
抗コリン成分や抗ヒスタミン成分は持病を抱えている人が服用すると、処方されているお薬に影響を与えることがあります。
また、妊娠中や授乳中の酔い止めの服用も、お腹のなかの胎児や赤ちゃんに影響を与えるリスクがあります。
緑内障・前立腺肥大・心臓病など基礎疾患(病気)を抱えている方
平衡感覚の混乱を軽減する(抗コリン成分)や、気分の悪化を抑える(抗ヒスタミン成分)、めまいや吐き気を防ぐ(抗めまい成分)などは、
医療機関で継続的な治療を必要とする基礎疾患(病気)との相性が悪い成分が多いです。
例えば、眠気が少ない乗り物酔いとして重宝されるトラベルミンRには、ジフェニドール塩酸塩(抗めまい成分)が配合されています。
緑内障・前立腺肥大の患者さんが酔い止めの市販薬を服用すると、緑内障は眼圧上昇による失明のリスクが高まります。
前立腺肥大の場合は、排尿困難や、ひどい場合は尿が全くでなくなる尿閉になる場合があります。
心臓病も心機能を亢進させ、心臓に無理な負担をかけることに繋がるので服用は避けてください。
かぜ薬や鼻炎薬・せき止めを服用している方
乗り物酔いの市販薬と、かぜ薬・せき止め・鼻炎薬などは、成分が重複していることが多いので副作用のリスクが高くなります。
一例を挙げれば、トラベルミン・トラベルミンジュニアには、感覚混乱の原因となる情報が入ってくるのを抑制するジプロフィリンが配合されています。
ジプロフィリンは、気管支を拡張し、せきを鎮める目的でせき止め薬(例・コンタックせき止めSTや龍角散のせきどめ液ベリコンS)などにも使用されています。
「ジプロフィリン」のように成分名が同じなら気づきやすいですが、成分名が違っても、かぜ薬や鼻炎薬には「くしゃみ・鼻水・鼻づまりを抑える抗ヒスタミン成分」などが配合されているので併用は避けてください。
併用不可の医薬品
他の乗物酔い薬・かぜ薬・解熱鎮痛薬・鎮静薬・鎮咳去痰薬・胃腸鎮痛鎮痙薬・抗ヒスタミン剤を配合した内服薬(鼻炎用内服薬、アレルギー用薬など)
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妊婦さんの乗り物酔い薬の服用はおすすめしません
自己判断による乗り物酔い薬の服用は、基本的におススメしません(市販薬)
市販薬のなかには、胎児の奇形や新生児に頻脈・嘔吐・神経過敏などを起こす可能性のある成分が多数あります。
特に妊娠初期の4週⽬〜7週⽬の器官形成期には、脳や心臓、目・口・耳・消化器、骨、腹部、四肢など重要な臓器が絶えず細胞分裂をしています。
妊娠期間中はホルモンバランスが変わるなど、普段問題なくても薬剤に敏感になる状態です。
市販薬で服⽤可能なものかどうかの判断は、担当されるお医者様によっても判断が分かれます。
授乳中の酔い止めの服用について
酔い止めの市販薬には母乳を通じて、赤ちゃんに影響を与える成分が配合しています。
どうしても酔い止め薬を使用す場合は、一時的に赤ちゃんの授乳を粉ミルクに切り替えるなど、
母乳を通じて赤ちゃんの口に成分が入らないよう気をつけてください。
当日アルコールなど飲酒された方は酔い止めを服用しないで下さい
飲酒はお薬の成分の代謝分解が遅れます。
くすりの血中濃度の上昇に伴い、効きめの強さが変わったり、思わぬ副作用を招くおそれがあります。
酔い止め薬に限らず、医薬品は分解代謝する酵素がアルコール類を分解するものと同じものがありますので注意してください。