乗り物酔いによる症状の予防と緩和に効果を発揮する「酔い止めの市販薬」には、吐き気・おう吐・めまい・頭痛など。複数の異なる効能効果をもった成分が配合されています。
乗り物酔いの予防には、「抗コリン成分」の配合された酔い止めがよく効きます。酔ってからの対処薬には「抗ヒスタミン成分」配合の酔い止めで対応できます。
市販の酔い止め薬には「抗コリン成分」と「抗ヒスタミン成分」の両方がセットで配合されたものが多く、乗り物酔いの予防と対策が同時にできます。
乗り物酔いのお薬の成分と効果について
乗り物酔いのお薬には、吐き気やめまいを軽減する抗コリン成分のスコポラミン。胃粘膜の知覚神経を麻痺させて吐き気を抑えるアミノ安息⾹酸エチル。
カフェインやジプロフィリンなどの中枢神経興奮薬。ジメンヒドリナート・ジフェンヒドラミン・メクリジン・クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン成分。
中枢神経の過剰反応を抑える鎮静作用があるブロモバレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素が配合されています。
抗ヒスタミン成分の作用
乗り物酔いの薬に配合されている抗ヒスタミン成分は、平衡感覚のバランスを保つ前庭器官にはたらきかけて、乗り物の振動や揺れで自律神経が混乱するのを防いでくれるお薬です。
また、抗ヒスタミン成分は、吐き気・めまいなど嘔吐中枢の過剰反応も抑制してくれます。
市販薬では、トラベルミン1には持続時間の長い塩酸メクリジン。アネロン「ニスキャップ」にはマレイン酸フェニラミンが配合されています。
鎮うん剤の作用
抗めまい成分と呼ばれるお薬です。平衡感覚をつかさどる内⽿への血流を調整したり、内⽿の神経に作用して、めまい・吐き気を改善します。
市販薬には医療⽤でも使われているジフェニドール塩酸塩が採用されていて、特にめまいに対して効果を発揮します。
ジフェニドール塩酸塩は、単体では副作⽤の眠気が⽐較的少ない成分でトラベルミンRに配合されています。
抗アセチルコリン剤の作用
抗コリン成分は中枢神経にはたらきかけて、吐き気・おう吐・めまいを緩和してくれるお薬です。
市販薬に配合されているスコポラミン臭化⽔素酸塩⽔和物は、胃腸の過剰な働きを抑えることで、吐き気に対してよく効きます。
一般的な乗り物酔いの市販薬に多く使われていて、大正製薬のセンパヤQTやお子さん用のトラベロップQQS(浅田飴)にも配合されています。
鎮吐剤(はきけどめ)の作用
鎮吐剤(ちんとざい)は、胃の粘膜の知覚神経を一時的に麻痺させて、乗り物による揺れや振動による胃の過剰反応を緩和してくれます。
胃粘膜への刺激を鈍らせることで、揺れや振動によって反射的に起こる吐き気やおう吐を予防してくれます。
「アミノ安息⾹酸エチル」は、アネロン「ニスキャップ」に配合されています。ただし、アミノ安息⾹酸エチルの成分は、6歳以下のお子さんには使用できません。
中枢神経興奮薬の作用
市販の酔い止め薬では、カフェインやジプロフィリンが配合されています。中枢神経を覚醒させることで、乗り物酔いの原因となる感覚機能の改善に効果があります。
またカフェインは、抗ヒスタミン成分や抗コリン成分と一緒に配合されることで、眠気の緩和にも役立ちます。
ジプロフィリンは、トラベルミン(エーザイ)トリブラプレミアム液(大木製薬)に配合されています。
鎮静剤の作用
鎮静成分は、おう吐中枢や平衡感覚をつかさどる内耳の前庭器官にはたらきかけて、乗り物酔いの症状を緩和します。
「アリルイソプロピルアセチル尿素」は、乗り物酔いによる不安や緊張を緩和してくれるお薬ですが眠気の副作用が強くでます。
アリルイソプロピルアセチル尿素は、佐藤製薬のエヤミットサットFや、日邦薬品工業のレジャール錠に配合されています。
ご参考になれば幸いです