風邪のおくすり

【かぜ薬の漢方薬】発汗時には葛根湯の服用を避けてください

2019-02-08

「くしゃみ」「鼻水」「熱」「のどの痛み」「身体の節々の痛み」「悪寒」「だるさ」など。同じ風邪の引きはじめでも、既に汗をかいている場合には葛根湯の服用を避けてください。

葛根湯には、強力な発汗作用のある⿇⻩(まおう)のほかに桂皮(けいひ)など。身体をしっかり温め、発汗を促す効果の高い生薬が配合されています。

汗をかいている状態で葛根湯を服用すると、汗が出過ぎてしまい、必要以上に発汗が促され脱水症状をひき起こすおそれもあります。

風邪の初期に飲めば効くイメージの強い葛根湯ですが、葛根湯は⾵邪で処⽅される2〜30種類の漢方薬のひとつで、どの症状にも効く万能薬ではありません。

葛根湯が効きやすいタイプの風邪について

私達の身体は風邪の原因となる200種類以上あるウイルスや細菌をやっつけるために熱を作り出します。体温が37〜38.0℃くらいまで高まると免疫は一時的に約5倍程度上がると⾔われています。

風邪のタイプには、全身がゾクゾクして寒け(悪寒)が先にでる【傷寒】と呼ばれるタイプの風邪と、細菌やウイルスによる炎症から痛みや熱がでる【温病】タイプがあります。

 

葛根湯は傷寒タイプの風邪に有効な漢方薬のひとつです。発熱など熱が出ているときは、ウイルスや細菌の増殖や活動を抑えこむための免疫を上げている状態です。

葛根湯はゾクッと寒気を感じた風邪のひき始めの服用が効果的です。風邪ウイルスや細菌を追い出すための抵抗力を高め、風邪がひどくなるのを防ぐ手助けをしてくれます。

ただし葛根湯は、風邪のひき始めでも、高熱や発汗が激しい状態や、鼻水やのどの痛み、せきが止まらなくなってからの服用では効果が実感できないことがあります。

葛根湯の効き目を引き出す服用のタイミング

漢方薬の原典とされる書物にも、「葛根湯は、汗が出ておらずウイルスや細菌を追い出すための熱を作っているときの症状(悪寒・頭痛・節々のこわばり・発熱)があるタイミングで使いなさい」と示されています。

葛根湯は寒気を感じたり、⾸筋や肩が張る不快感。頭がなんとなく重い、頭痛がするなど。風邪の兆候を感じたその日か遅くても翌日までに飲むのが有効な短期決戦の漢方薬です。

 

また、葛根湯の添付文書(お薬の説明書)には、葛根湯は⾷前または⾷間(⾷事と⾷事の間)に水か白湯(さゆ)で服用してくださいと記載されています。

白湯(さゆ)は少し熱めでご自身が心地よいと感じる温度のお湯のことです。葛根湯は身体を温めて、汗を出す手助けをしてくれますので、⽔よりは温かい⽩湯で飲んでください。

 

葛根湯の飲み方を解説した記事の中には、量を増やすなどの方法も提示されていますが、市販薬の場合はその服用方法はおすすめしません。

お薬に同封された添付文書(説明書)の用法用量を無視した服用は、効果以上に副作用のリスクを高める「医薬品の乱用」に他なりません。

葛根湯に配合されている生薬のはたらき

葛根湯はかぜのひきはじめなど。体力が消耗していないときに飲むと効果を実感しやすい漢方薬です。

具体的には、悪寒がして体が冷えている状態で汗がまだ出ていない風邪の初期症状(頭痛・発熱・首筋や肩のこわばり)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛みに有効です。

 

かぜ薬の眠気の原因となる抗ヒスタミン成分が配合されていないので、かぜ薬として使用する場合は服用後も眠たくならないメリットがあります。

漢方薬は、長年の経験と臨床経験の積み重ねで、異なった薬効をもつ生薬同士が相互作用を持つように配合されています。

ただし、「高熱や大量の発汗」「のどの痛み」や「せき」がひどい場合は、葛根湯ではなく他の医薬品もしくは医療機関の受診をおすすめします。
  • ⿇⻩(まおう)…身体を温めて、発汗を促してくれます。
  • 桂皮(けいひ)…⿇⻩と同じく発汗作用があり、⿇⻩との相乗効果で汗をしっかり出してくれます。
  • ⼤棗(たいそう)…身体のこわばりなどを緩和する生薬です。
  • ⽣姜(しょうきょう)…身体を温め胃腸の働きを整えてくれます。
  • ⽢草(かんぞう)…胃腸を守るはたらきもあり、弱った胃を保護してくれます。また⽣薬同士の調整も担う生薬です。
  • 芍薬(しゃくやく)…筋肉の緊張を緩和し痛みを鎮めてくれます。
  • 葛根(かっこん)…筋⾁の痛みをやわらげてくれる生薬です。

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