ドラッグストアにせき止めを買いに行くと、販売個数の制限を理由に購入を断られた経験はありませんか。
せき止めの購入制限は、ドラッグストアが自主的に行っているものではありません。平成26年6月12日から施行された改正薬事法(現薬機法)によるものです。
医薬品の成分には、使い方を間違うと日常生活に支障をきたす程度の健康被害が起こる可能性のある医薬品があります。
特にせき止めなどは、要指導医薬品・第一類医薬品についで「副作用・飲み合わせなどで安全性上の注意がいる指定第二類医薬品」に指定されていて、販売個数の制限があります。
市販のせき止めが一個しか買えない理由は薬物の乱用防止のため
- 厚生労働省では簡単に手に入りやすい市販薬の乱用を防ぐため薬物乱用等のおそれのある医薬品の成分および品目を指定しています
せき止めの成分の一種であるコデインは、せき中枢の抑制作用に優れ、せきをしっかり止めるので、市販のせき止めのなかでも人気のある医薬品です。
ただし、コデインには長期間大量に服用することによって依存性が生じる成分です(普通の⼈が用法用量に従って、せき⽌めを2〜3週間使ったとしても依存性の危険はありません)
コデインが配合されたせき⽌め錠やせき止めシロップそのものが乱⽤薬物という訳ではありませんが、⻑期にわたる乱⽤は⾝体的依存を作るきっかけになります。
私が見た例のなかから具体例を挙げると、せき止めシロップのブロン液や、液体かぜ薬の小児用ジキニンの大量購入がそれに該当します。
コデイン中毒が疑われる方は薬の乱用による多幸感を得るために、複数店舗を1日に何回も訪れたり、時には家族も総動員させてせき⽌めを買い集めます。
市販薬に配合されているコデインは含有量が少ないため、薬物乱⽤者が急場をしのぐためにアルコールとコデインが⼊ったせき止めシロップが利用されやすいです。
薬物乱用等のおそれのある市販薬の成分について
- 厚⽣労働省は市販薬の7成分を「乱⽤の恐れのある医薬品の成分」に指定し法律によって販売時の数量を原則1⼈1箱に制限しています
薬物乱用に使用される成分はコデインが有名ですが、薬物乱用等のおそれのある成分はコデインだけではありません。
例えば、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去たん薬、鼻炎用内服薬、乗物酔い薬、アレルギー用薬、催眠鎮静薬、胃腸鎮痛鎮痙薬にも薬物乱用等のおそれのある成分があります。
厚⽣労働省の薬事・⾷品衛⽣審議会医薬品等安全対策部会の取り決めによって、下記の7成分に該当するものは販売時の数量を原則1⼈1箱に制限するルールができました。
指定第二類医薬品のせき止めが一個しか買えない理由は、日常生活に支障をきたす程度の健康被害のリスクを減らすとともに、薬物乱用を未然に防ぐ観点から設定されています。
1 コデイン
2 ジヒドロコデイン
3 ジヒドロコデインセキサノール
4 メチルエフェドリン
5 ブロムワレリル尿素
6 エフェドリン
7 プソイドエフェドリン
参考厚生労働省 濫用等のおそれのある医薬品の成分・品目及び数量について
厚生労働省重篤副作用疾患別対応マニュアル
厚生労働省では、今までに報告された重篤な副作用について症状や注意すべき人などをまとめた重篤副作用疾患別対応マニュアルを以下のホームページで公表しています。
厚生労働省ホーム から探す場合→政策について→ 分野別の政策一覧→健康・医療→医薬品・医療機器 →医薬品等安全性関連情報→重篤副作用疾患別対応マニュアルで関連資料を見ることができます。
医薬品の副作用被害にあった場合には
医薬品を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合は、医療費や年金などの給付を行う公的な制度があります。
ご参考になれば幸いです