長年痔を患っている方は痔の炎症にはステロイドが効くことをよくご存知ですので、ごくまれにリンデロンやベトネベートを自己判断でいぼ痔や切れ痔に塗られる方がいらっしゃいます。
リンデロンやベトネベートは炎症を鎮める効果の高いステロイドですが、痔が悪化している患部周辺に塗るとうっ血した血管を必要以上に収縮させてしまい痔の症状を悪化させてしまう場合があります。
リンデロンやベトネベートなど、痔の効能効果の記載のないステロイド剤は痔治療の代替薬として患部に塗らないでください。
強い作用のステロイドを痔の患部に使うことによって起こる副作用
- 強いステロイド外用薬の使用は痔の原因となるうっ血を悪化させるおそれがあります
よく痔のお薬選びで「1番強いステロイドが配合された痔のお薬はどれですか」とご相談を受けることがあります。
例えば、痔の塗り薬で有名なボラギノールA軟膏にはプレドニゾロン酢酸エステル。プリザエース軟膏にはヒドロコルチゾン酢酸エステル(両方ともステロイド)が使用されています。
「酢酸ヒドロコルチゾン」や「酢酸プレドニゾロン」は、ステロイド外用薬の作用の強さによる5段階分類のうち最も弱いweekに分類されますので、
ステロイドの強さの分類を検索された方でしたら、「もっと作用の強いステロイドを塗れば、痔の腫れや炎症が早く治るのでは」と誤解される方がいらっしゃいます。
冒頭でご紹介したリンデロンやベトネベート(クリーム・軟膏)には、比較的作用の強いベタメタゾン吉草酸エステル(ステロイド成分)が配合されていますが、
肛⾨など粘膜が露出している部位に強いステロイドを塗布した場合。必要以上に血管の収縮を起こり症状が悪化する場合があります。
特に、肛⾨付近の静脈がうっ⾎(⾎⾏障害)を起こしてできるいぼ痔に塗ると、腫れが治まるどころかどんどん大きく腫れあがってくるので、歩くたびにスレて痛みが増します。
いぼ痔に限らず腫れがひどい、化膿しているなど痔の症状が慢性化している場合には、市販薬に頼らず専門医の診察を受けてください。
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【簡易版】市販薬で治療可能な痔と治せない痔の種類
このうち市販薬で治療できるのは「外痔核・切れ痔・軽度の内痔核」の3つです。「痔ろう(あな痔)」と「いぼ痔が外側に出てくる第Ⅲ度以上の内痔核」は専門医による治療が必要になります。 外側にできる外痔核と、 ...
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