【簡易版】痔のお薬に配合されている主な成分と選び方

痔には痔核（いぼ痔）・裂肛（切れ痔）・痔ろう（肛門の内部の肛門腺窩（こうもんせんか）と呼ばれるくぼみに便のカスがたまってそこに菌が繁殖し化膿した状態）の３つがあります。

市販薬ではおもにお尻の外側に出来るいぼ痔と切れ痔、肛門内部に出来る第Ⅱ度の内痔核までが対象になります。

痔ろうは市販薬で対応はできませんので、肛門科や外科など医療機関を受診してください。

市販薬で治せない痔については「関連情報【簡易版】市販薬で治療可能な痔と治せない痔の種類」を参考にしてください。

この記事では、痔の医薬品に配合されている成分と市販薬の選び方をご紹介します。

痔の注入軟膏・坐薬・軟膏の選び方

痔に使われる内服薬を除けば、市販薬には軟膏タイプと坐薬タイプが販売されています。軟膏には通常の軟膏と注入軟膏の２種類があります。

注入軟膏は肛門の内側に注入したり肛門付近の痔には塗って使うことができるので、裂肛、内痔核、外痔核など幅広い用途で使いたい場合に向いています。

坐薬は肛門内側で体温に反応してすばやく溶けて患部に直接作用し、主に肛門内側のいぼ痔、きれ痔の治療に適しています。軟膏は肛門付近のいぼ痔、きれ痔に使用します。

通常の軟膏が「肛門の外側や周辺に出来るいぼ痔・切れ痔」にしか使用できないのに対し、注入軟膏は坐薬の代わりに肛門の内部に薬剤を送り込めるので歯状線より上に出来た内核痔にも使用できます。

例えば、痔のお薬で有名なボラギノール注入軟膏は、歯状線の奥布深く（約１８mm）にできた内核痔にも届くように薬剤のノズルの長さを２６mm に設計しています。

坐薬を挿れ慣れていない人でも簡単に入るよう先端を丸いカーブにする工夫がされていますので、軟膏タイプと坐薬タイプで迷ったら内外両方に使える注入軟膏を選んでください。

注入軟膏は、外側の痔には指に薬剤をとって直接塗れて、内側の痔には挿入する２通りの使い方が出来ます。

痔の痛み・出血に効く成分のはたらき

抗炎症成分(ステロイド成分)

酢酸ヒドロコルチゾン・酢酸プレドニゾロンは、粘膜から吸収されて痔の炎症を鎮めてくれます。

酢酸ヒドロコルチゾンと酢酸プレドニゾロンでは、プレドニゾロンのほうが抗炎症効果が高いとされています。

ただし、長期間の使用には向かないことと、化膿している部位には塗れないデメリットがあります。

非ステロイド抗炎症成分

はれ・出血・かゆみが軽い、初期の痔の症状には非ステロイドの塗り薬がおすすめです。

非ステロイドは、ステロイドに比べて抗炎症効果は弱いですが、広い範囲に塗ることができます。

血管収縮成分（止血成分）

血管収縮作用を利用して患部の充血・はれをおさえる成分です。

腫れだけでなく出血もある痔には、抗炎症成分と止血成分があわせて配合されている医薬品を選んでください。

局所麻酔成分（痛み・かゆみどめ）

痛みやかゆみを感じる知覚神経を一時的に麻痺させることで、痔の不快感をおさえる成分です。

炎症がひどい痔の場合には、ステロイドと局所麻酔成分が入っている医薬品が良く効きます。

かゆみを緩和するための成分のはたらき

抗ヒスタミン成分（かゆみ止め）

かゆみの原因になるヒスタミンをブロックする成分です。

抗ヒスタミン成分は、かゆみの元となるヒスタミンが増えるのを先回りして抑え、痔のかゆみがひどくなるのを防いでくれます。

組織修復成分

アラントインは傷口の治りを早め、患部の修復を手助けしてくれる成分です。

患部の腫れや痛みを放っておくと、皮膚の内側で炎症が進みかゆみにつながります。

血行促進成分（うっ血解消）

トコフェロール酢酸エステル（ビタミンＥ）は患部の血行を改善し、うっ血を防いでくれます。

患部がうっ血すると血の流れが滞り患部に痛みとかゆみが生じます。

清涼成分（冷感刺激成分）

冷感刺激成分は、患部に直接清涼感を与えることでかゆみを打ち消す成分です。

ただし、患部に傷があると冷感刺激成分は痛みますので注意してください。

殺菌消毒成分

殺菌消毒成分は、荒れた患部を化膿の原因になる雑菌から二次感染するのを防いでくれる成分です。

患部に雑菌が繁殖すると痔の症状の悪化や治りが遅くなります。

収れん・保護成分

粘膜の保護や出血を止める成分です。

荒れた患部を保護することで痔の症状を鎮めてくれます。