水虫治療は新陳代謝により白癬菌の感染した皮膚がなくなるまで、少なくとも2~3ヶ月は根気よく治療を続けることが完治への近道です。
白癬菌は一度角質層の奥に繁殖すると角質層のケラチンを食料にして何年も生きつづけます。かゆみなどの症状が治まったからといって水虫治療を止めてしまうと、角質の奥深くに入り込んだ菌が息を吹き返して水虫の症状が再発してしまうことがあります。
水虫薬1本では表面に出ている白癬菌しか退治できません。角質の奥深くに入り込んだ菌も退治するためにも前もって複数本の購入をし、2~3ヵ月は継続治療してください。
市販の水虫薬には水虫の原因である白癬菌を退治する抗真菌薬のほかに、かゆみや赤みなどの不快な症状をおさえる成分が配合されています。
具体的な水虫薬例にしてパッケージに記載されている成分名と効き目をご紹介します。
抗真菌剤
殺菌力の強い第3世代の抗真菌剤
アモロルフィン塩酸塩・テルビナフィン塩酸塩・ネチコナゾール塩酸塩・ブテナフィン塩酸塩・ラノコナゾールは真菌(白癬菌)に対する殺菌・抗菌作用をもつ水虫薬の主成分です。
これら殺菌力の強い第3世代の抗真菌剤は白癬菌の抑制力(MIC)の数値が強いので、ほとんどの製品が100グラム中1%の濃度で有効成分(抗真菌剤)が配合されています。
(第3世代抗真菌剤配合水虫薬の一例)ラノコナゾール→【指定第2類医薬品】ピロエースZ液 そのほかの具体的な水虫薬の紹介はこちら
第3世代以前の抗真菌剤
エコナゾール硝酸塩・オキシコナゾール硝酸塩・クロトリマゾール・シクロピロクスオラミン・スルコナゾール硝酸塩・ビホナゾール・ミコナゾール硝酸塩など、第3世代以前の抗真菌成分は白癬菌の抑制力が成分によって差があります。
製品によっては高濃度(配合量)を謳う医薬品もありますが、高濃度=白癬菌の抑制力が強いわけではありません。
(ビホナゾール配合水虫薬の一例)→【第2類医薬品】アトレチオンLXクリーム
殺菌消毒成分
イソプロピルメチルフェノール・エタノール・クロルヘキシジン塩酸塩・ベンザルコニウム塩酸塩は、水虫の患部を清潔にして、化膿球菌など二次感染を防いでくれるおくすりです。
フェノールは患部に傷があるときは皮膚への刺激感が強いので避けてください。
(イソプロピルメチルフェノール配合水虫薬の一例)→【指定第2類医薬品】ダマリングランデX
抗ヒスタミン成分
クロルフェニラミンマレイン酸塩・ジフェンヒドラミン塩酸塩など抗ヒスタミン成分は、水虫による強いかゆみやムズムズ感、皮膚のかぶれなどの原因になる「ヒスタミン」をおさえてくれるおくすりです。
(クロルフェニラミンマレイン酸塩配合水虫薬の一例)→【指定第2類医薬品】ブテナロックVαクリーム
局所麻酔成分
塩酸リドカイン・ジブカイン塩酸塩など局所麻酔成分は、かゆみを感じる知覚神経を一時的に麻痺させる麻酔作用で、かゆみなど水虫の不快感をおさえる成分です。
(リドカイン配合水虫薬の一例)→【第2類医薬品】タムチンキパウダースプレー
鎮痒薬(痒み止め)成分
クロタミトンは、皮膚にじんわりとした灼熱感を与えてかゆみを紛らわせる成分です。
(クロタミトン配合水虫薬の一例)→【指定第2類医薬品】ラミシールプラス液
抗炎症成分
グリチルレチン酸・グリチルリチン酸二カリウム・アラントイン(皮膚修復成分)など抗炎症成分は、水虫による患部の腫れなど、炎症をおさえ患部の腫れや赤みの治りを早める目的で配合されています【非ステロイド】
ステロイドを水虫などの感染症に使用すると、症状がより悪化する場合がありますので厳禁です。
(グリチルレチン酸配合水虫薬の一例)→【指定第2類医薬品】メンソレータム エクシブWディープ10クリーム
収れん・保護成分
酸化亜鉛は、亜鉛の持つ収れん作用によって傷を乾燥させるなど、皮膚を保護して炎症を鎮める目的で水虫薬に配合されています。
(酸化亜鉛配合水虫薬の一例)→【第2類医薬品】アスター軟膏
局所刺激成分
L-メントール・dl-カンフルなどは、皮膚にひんやりとした冷感刺激を与えて、水虫によるかゆみを緩和する成分です。
傷のある部位では刺激が強くしみますので局所刺激成分の配合されていないおくすりを選んでください。
(メントール配合水虫薬の一例)→【指定第2類医薬品】フットラック クリーム
角質軟化成分
サリチル酸・イオウ・尿素などは、白癬菌の寄生した角質をやわらかくして、有効成分を患部まで届きやすくする目的で配合されています。
傷のある部位では刺激が強いので使用を避けてください。
(サリチル酸配合の水虫薬の一例)→【第2類医薬品】エフゲン
市販の水虫薬まとめ
ラノコナゾール・アモロルフィン・塩酸ブテナフィン・塩酸テルビナフィン・塩酸ネチコナゾールのように白癬菌の抑制力(MIC)が強い成分を配合した製品でしたら、水虫治療にどれも十分すぎる効果をもっています。
市販薬ではこれらの成分はどれも1%の濃度に整えられているので、同じ成分なら製品によって殺菌力の強さが変わることはありません。
それよりは、かゆみや腫れなどご自身が気になる症状をおさえる成分が配合された製品を選ぶことが大切です。