毎年新しい水虫のおくすりを使うけど治らない。強い殺菌力を謳う水虫薬をぬって逆に症状が拡がった場合。それは水虫でなく皮膚炎など他の病気の可能性があります。
水虫と誤解して水虫・たむし用薬など抗真菌剤を使うと気になる症状が悪化する場合もあります。
殺菌力の強い水虫薬で症状が拡がった原因①【薬剤に対するアレルギー反応】
俗に「肌にあわなかった」と言われる症状です。成分自体にアレルギー反応が起こった場合はその成分は避ける必要があります。
接触性皮膚炎の場合は殺菌力の強弱に関係なく成分が変われば治まることが多いです。
初期段階で原因となる薬剤を中止すれば重篤な症状に移行せず、通常1週間程度で症状は快方に向かいます。
もし、症状の回復が思わしくない場合は、すみやかに皮膚科などの専門医を受診してください。
殺菌力の強い水虫薬で症状が拡がった原因②【皮膚炎】
水虫を治す抗真菌剤は皮膚炎などの症状を悪化させる副作用を持っています。
水虫と自己判断しても白癬菌がいなかった場合、それは皮膚炎の症状の可能性があります。
「水虫の治療の抗真菌剤(水虫薬)」と「皮膚炎などの治療に使われる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)」は正反対の副作用を持っています。
抗真菌剤は皮膚炎に使うと、炎症を抑える防御反応の邪魔をしてしまいます。
皮膚炎の症状が悪化すると「見た目が水虫が拡がった」ように感じてしまいます。
反対に、水虫の患部にステロイド剤を使用すると、皮膚を守る抵抗力が制限されます。
皮膚を守るバリアーが弱いと他の細菌・真菌の活動が活発になり、水虫が大繁殖します。
かんたん説明
抗真菌薬は白癬菌の生育を抑える薬であって湿疹皮膚炎には効きません
当たり前ですが水虫のおくすりは皮膚炎には効きません。
皮膚炎は放置していると悪化するので、結果的に抗真菌薬で水虫が悪化したように見えます。
実際にあった笑えない話ですが、お年を召されたご高齢の方が「水虫になったから」とステロイド剤を患部に塗布した例があります。
足の指に湿疹の小さい水ぶくれ「小水疱(しょうすいほう)」ができたと勘違いされ、ご自宅にあったステロイド剤を患部に使用で水虫が逆に大繁殖されたそうです。
抗真菌剤を使うと皮膚の炎症トラブルが悪化しやすくなります
水虫は皮膚科専門医でも湿疹と見分けがつきにくい場合があります。
「たぶん水虫だろう」と自己判断して、症状が悪化した場合は速やかに使用を中止して皮膚科専門医の診断を受けてください。
湿疹は最初に斑点状の「発赤(ほっせき)」に始まって、時間の経過とともに皮膚がブツブツに隆起した「丘疹(きゅうしん)」に変わります。
次に、小さい水ぶくれの「小水疱(しょうすいほう)」や「膿疱(のうほう・うみを持った水ぶくれ)」、ジュクジュクした「湿潤」
最後に「結痂(けっか・かさぶたのこと)」、皮膚がボロボロとはがれる「落屑(らくせつ)」とゆうサイクルで治癒します。
小さい水ぶくれの「小水疱(しょうすいほう)」や、ジュクジュクした「湿潤」、皮膚がボロボロとはがれる「落屑(らくせつ)」など症状は、一見すると水虫と見間違うこともあります。
水虫に似た湿疹・皮膚炎など病気の一例
強い殺菌力の水虫薬を使っても、治るどころか悪化する場合は一度皮膚科専門医の受診をお勧めします。
汗疱(かんぽう)・疥癬(かいせん)・掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)・皮膚カンジダ症・貨幣状湿疹(かへいじょうしっしん)や脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)・接触性⽪膚炎やアトピー性⽪膚炎・体部白癬と似た環状紅斑(かんじょうこうはん)や多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはん)などがあります。
市販の水虫薬を使用しないほうがよい場合
爪の内部に繁殖した水虫などは内服薬(飲み薬)での治療が必要です。
- ほかの爪とくらべて白っぽくなったり分厚くなったりしている爪の水虫(爪白癬)
- しらくも(頭部白癬)
- 水虫の場合でも患部に亀裂や外傷がある、炎症がひどい、化膿している場合
- 水虫の症状が顔や陰のう、粘膜、または広範囲に症状が拡がっている場合も市販薬の使用は避けて医療機関を受診してください。
ご参考になれば幸いです。