水虫薬は毎年なにかしら目新しい成分の配合された商品が発売されるので、従来の製品に満足しなかったひとが「何かいい商品がないかとパッケージ買い」される商品のひとつです。
花粉症の季節が終われば、ドラッグストアさんなどの店先にも、今まで花粉症のおくすりを陳列していた入り口の目につく場所に、いつの間にか水虫薬のコーナーが所狭しと展開されていますよね。
この記事では、白癬菌(水虫菌)の繁殖を抑える効果の高い「抗真菌剤」と、「軟膏・クリーム・液剤・スプレー」など、患部の状態に適した具体的な医薬品の選び方をご紹介します。
この記事で紹介すること
①【白癬菌(水虫菌)の繁殖を抑える効果の高い成分と弱い成分】②【症状からおススメする白癬菌の抑制力(MIC)が強い水虫薬】をご紹介しています。
水虫薬の成分の強さ比較
白癬菌の抑制力(MIC)の数値だけでいえば、2002~06年を境に医療用成分から一般薬化された成分が効果が高く、
1位ラノコナゾール>2位塩酸アモロルフィン>3位塩酸ブテナフィン≒塩酸テルビナフィン>5位塩酸ネチコナゾール>そのほかの抗真菌剤成分の順になります。
MICとは
最小発育阻止濃度(MIC)は、製薬メーカーが提供している医薬品インタビューフォームに記載された数値です。0.00012~0.004μg/mlのように、数値が0に近いほど白癬菌の抑制力(MIC)の効果が高い成分になります。
従来の水虫薬と比べて白癬菌の抑制力(MIC)が強い成分
2002年から~
第3世代の抗真菌成分 | 代表的な製品 |
アモロルフィン塩酸塩 |
ダマリンエース (大正製薬・販売中止) |
ブテナフィン塩酸塩 |
ブテナロックVα・タムチンキパウダースプレーZ |
テルビナフィン塩酸塩 |
ダマリングランデX・ラミシールDX・エクシブW |
ネチコナゾール塩酸塩 | アトラントエース(エスエス製薬・販売中止)など |
2006年から~
第3世代の抗真菌成分 | 代表的な製品 |
ラノコナゾール |
ピロエースZ・デシコートブロック など |
【参考】第3世代抗真菌成分が登場する以前の水虫薬成分
医療用成分から一般薬化された代表的な抗真菌成分 | |
エキサラミド(1985) |
チオコナゾール(1991) |
シクロピロクスオラミン(1987~) |
オキシコナゾール硝酸塩(1993~) |
ミコナゾール硝酸塩(1987~) |
スルコナゾール硝酸塩(1993) |
エコナゾール硝酸塩(1988~) | ビホナゾール(1993~) |
トルシクラート(1991) |
ラノコナゾール、テルビナフィン、ブテナフィン、アモロルフィン、ネチコナゾールなど第3世代の抗真菌成分と比べて、従来の抗真菌成分は白癬菌の抑制力(MIC)が弱いです。
製品によっては高濃度(配合量)を謳う医薬品もありますが、高濃度=白癬菌の抑制力が強いわけではありませんのでご注意ください。
MICは極限まで少なくした量で、どれくらい水虫の繁殖を抑えられるかを示した数値です。
ブテナフィン塩酸塩の市販薬
とにかくかゆみを鎮めたい水虫の方にブテナロックVαクリーム
趾間(しかん)型・小水疱型・角化型の水虫にオールマイティに効果を発揮
ブテナロックVαクリームは、刺激感が少なく広範囲に塗れるクリームを採用していて、患部の状態や塗る場所にこだわらずオールマイティに効果を発揮してくれるおススメの水虫薬です。
「抗真菌剤」に加えて、痛みやかゆみを鎮めるよう神経に作用する「局所麻酔成分」や、かゆみを引き起こすヒスタミンをブロックする「抗ヒスタミン成分」と、
清涼感と灼熱感でかゆみを打ち消す「鎮痒成分(局所刺激成分)」など、市販薬で最も多い「効果の異なるかゆみ止め」を4種類配合しています。
また、痛かゆい患部の腫れを抑える「グリチルレチン酸(抗炎症成分)」や、雑菌による二次感染(化膿)と、臭いの原因菌を殺菌する「イソプロピルメチルフェノール(殺菌消毒成分)」も追加されていますので、
この水虫薬を選んでおけば間違いない「頼りになる一本」です。
その他ブテナフィン塩酸塩配合市販薬の特徴についてはこちら(別記事に移動します)
塩酸テルビナフィンの市販薬
かかとがざらざら引っかかる粉を吹いた水虫にメンソレータム エクシブWディープ10クリーム
特に女性の場合は、かかと部分にできる角質化水虫(角化型)が繁殖しやすいので、有効成分が浸透しやすくする尿素の配合された「メンソレータム エクシブWディープ10クリーム」が売れています。
「メンソレータム エクシブWディープ10クリーム」は、有効成分の「テルビナフィン塩酸塩」は殺真菌作用と角質層への浸透力と貯留性に優れている抗真菌薬になります。
また、女性が苦手なメントールも配合していない水虫薬です(女性は男性に比べて皮膚が薄く、「スーッとした清涼感が逆にヒリヒリする」など、メントールを好まれない方が一定数いらっしゃいます)
抗真菌薬のほかに、かゆみ止め2種類(リドカイン、ジフェンヒドラミン塩酸塩)のほかに、炎症に効く抗炎症成分(グリチルレチン酸)、ニオイの原因菌を殺菌するイソプロピルメチルフェノールなどを配合した水虫薬で、
「塗ったときになかなか乾かない」ことや「(ストッキングなどを履いたときの)ベタつき」が気になる女性の不満点も解消した、速乾性と使用感に優れる水虫薬です。
「メンソレータム エクシブWディープ10クリーム」は35gと容量も多いので、かかとを含め広範囲にたっぷり塗れます。
その他テルビナフィン塩酸塩市販薬の特徴についてはこちら(別記事に移動します)
ラノコナゾールの市販薬
患部がジュクジュクした「ぱっくり割れ」の水虫にピロエースZ軟膏
角質をやわらかくする尿素は、ぱっくり割れて粘膜が露出した水虫に使うと粘膜が刺激されて非常にしみます。
その場合は、尿素の配合されていない「ピロエースZ軟膏)」を選んでください(ピロエースZ軟膏には、尿素とメントールが配合されていません)
軟膏は、水虫薬に使われている基剤のなかでも患部を保護する力が強く、アルコールも含まれていないので皮膚に優しい剤形です(液やスプレーにはアルコール類が使われています。アルコールは患部を刺激しやすいので、ひび割れ水虫に使うと痛みます)
ピロエースZ軟膏は「伸ばしにくい」のと「かゆみ止めが入っていない」のが難点ですが、市販薬でもっとも強い白癬菌の抑制力(MIC)を持つラノコナゾール配合の水虫薬です。
その他ラノコナゾール配合市販薬の特徴についてはこちら(別記事に移動します)
ご参考になれば幸いです。