風邪のおくすり

かぜ薬や解熱鎮痛剤に含まれるイソプロピルアンチピリンの副作用と代替薬について

2017-10-18

「ピリン系解熱鎮痛薬」に対して過敏性を持ち、この種類の薬剤を服用することで薬疹やじんましんなどのアレルギー症状が発生する状態をピリンアレルギーと呼びます。

ピリン系解熱鎮痛薬はお年を召されている方を中心に、ピリン系であるか否かでお薬を選ばれるほど毛嫌いされる方も多い解熱鎮痛剤です。

お薬を選ぶにあたって抵抗感のあるピリン系解熱鎮痛薬ですが、現在市販薬にはアレルギー反応を起こしやすいアンチピリン・アミノピリン・スルピリンは配合されておりません。

ピリン系解熱鎮痛薬は、かぜ薬や解熱鎮痛剤を中心にイソプロピルアンチピリン1種類のみが市販薬に配合されています。

この記事では、かぜ薬や解熱鎮痛剤に含まれるイソプロピルアンチピリンの副作用と代替薬についてご紹介します。

イソプロピルアンチピリンが配合された市販薬の安全性

  • 現在、国内で流通しているピリン系解熱鎮痛薬の市販薬は、他のピリン系解熱鎮痛薬と比べて安全性の高いイソプロピルアンチピリン1種類のみです
ピリンアレルギーは、イソプロピルアンチピリンを含むピリン系解熱鎮痛薬に対して過敏性アレルギーを持つ方が薬剤を服用した場合に起こる症状です。

ピリン系解熱鎮痛薬はピリンアレルギーが起こりやすい危険な薬剤と誤解されがちですが、すべての方にピリンアレルギーが起こるわけではありません。

現在、国内で流通している「ピリン系解熱鎮痛薬」の市販薬は、頭痛薬の「セデス・ハイ」や風邪薬の「プレコール持続性カプセル」などは、他のピリン系解熱鎮痛薬と比べて安全性の高いイソプロピルアンチピリンが配合されています。

例えば、ピリンアレルギーの陽性反応を確かめる薬物過敏症の方に対する20症例のパッチテストでも、アンチピリンが陽性反応16(アミノピリン8・スルピリン8)に対して、イソプロピルアンチピリンは1症例のみとなっています。

ピリンアレルギーの副作用が広く世間に認知された経緯

イソプロピルアンチピリンは1931年にスイスの世界的製薬メーカーであるロシュ社で開発され、日本に1954年に導入された歴史の長い解熱鎮痛剤です

イソプロピルアンチピリンは、同じピリン系解熱鎮痛薬の「アンチピリン・アミノピリン・スルピリン」の副作用報告の影響を受けて、1977年から「ピリン系解熱鎮痛薬」の使用が一時中止された経緯があります。

ご高齢の方を中心に、当時のニュースを覚えている方には「ピリン系解熱鎮痛薬イコール危ないもの」の認識が定着してしまいましたが、安全性の再審査を経て1981年に再承認されています。

他のピリン系解熱鎮痛薬と異なり、イソプロピルアンチピリンはピリンアレルギーの元となる活性アルデヒト生成の代謝経路を経ておらず、一度もピリンアレルギーが出ていない方なら安心して使えるお薬です。

イソプロピルアンチピリンは炎症を抑える作用は弱めですが、解熱作用や鎮痛効果に優れた解熱鎮痛薬になります。 

イソプロピルアンチピリンが使えない方の代替薬

  • 過去にピリンアレルギーを起こしたことのある方はイソプロピルアンチピリンを含めピリン系解熱鎮痛薬を避けてください

ピリンアレルギーの方でも使用可能な解熱鎮痛剤としては、アセトアミノフェン・アスピリン・イブプロフェン・ロキソプロフェンナトリウムなどが該当します。

アセトアミノフェンはお子さんでも服用できる安全性の高い解熱鎮痛剤です。アセトアミノフェンは胃腸障害を起こしにくい成分で、脳に痛みが伝わるのをブロックしてくれます。

アスピリン(アセチルサリチル酸)はピリンとつく成分名からピリン系と勘違いされますが、非ピリン系の即効性に優れる解熱鎮痛剤になります。

イブプロフェン・ロキソプロフェンナトリウムは、アスピリンより痛みを鎮める抗炎症効果が高い解熱鎮痛剤です。アスピリンよりも胃にかかる負担も軽く重宝されます。

アセトアミノフェンは年齢制限はありませんが、アスピリン・イブプロフェン・ロキソプロフェンナトリウムは15歳以下のお子さんには服用できない服用制限があります。

15歳以下のお子さまに痛み止めを服用させる場合は、アセトアミノフェン配合の解熱鎮痛薬を選んでください。

メモ

  • 【第2類医薬品】バファリンルナJ(アセトアミノフェン)
  • 【指定第2類医薬品】バファリンA(アスピリン)
  • 【指定第2類医薬品】イブA錠(イブプロフェン)
  • 【第1類医薬品】ロキソニンS(ロキソプロフェンナトリウム)

ピリンアレルギーの方がほかの解熱鎮痛剤を服用可能な理由

  • 解熱鎮痛剤の服用で起こるピリンアレルギーとアスピリン喘息は別物です

ピリンアレルギーはピリン系解熱鎮痛薬に対する特有の副作用ですので、ほかの解熱鎮痛剤では起こりません。

ですので、ピリンアレルギーの方でもあってもピリン系解熱鎮痛薬を避ければ他の解熱鎮痛剤を服用することができます。

ただし、非ピリン系解熱鎮痛薬であっても解熱鎮痛剤によって引き起こされるアスピリン喘息が起こる場合があります。異常を感じた場合は、医療機関の診察を受けてください。

アスピリン喘息は喘息に似た呼吸が苦しくなる発作や、過剰な鼻水、鼻づまり、はたまた消化器症状など諸症状のきっかけになる成分があります。

ピリン系解熱鎮痛薬のみで起こるピリンアレルギーに対して、アスピリン喘息は熱を下げたり痛みを抑える解熱鎮痛剤全般を服用したことによって起こる副作用です。

アスピリン喘息はアスピリンと名前はついてますが、アスピリンだけでなく他のさまざまな解熱鎮痛剤でも起こる可能性があります。

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