風邪で頭痛もひどいというときに「市販の総合感冒薬と頭痛薬をいっしょに服用してもよいですか」とご相談を受けることがあります。
「総合感冒薬と頭痛薬を併用すれば頭痛も早く治る」と誤解しがちですが、総合感冒薬と頭痛薬を併用しても頭痛が2倍早く治ることはありません。
かぜ薬と頭痛薬には熱と痛みを緩和する解熱鎮痛剤がどちらにも配合されていますので、総合感冒薬と頭痛薬の併用は避けてください。
痛み止め成分の重複は、痛み止めの効果を高めるどころか重篤な健康被害をもたらす副作用のリスクが高くなるだけです。
総合感冒薬だけでも頭痛はしっかり治まりますので頭痛薬との併用は行わないでください。
市販の総合感冒薬と頭痛薬の飲み合わせがNGな理由
例えば、頭痛薬でおなじみの「イブクイック頭痛薬」と総合感冒薬「ルルアタックEX」には同じ痛み止め成分のイブプロフェン(解熱鎮痛剤)が配合されています。
よく解熱鎮痛剤という名前のイメージからか「かぜ薬の解熱鎮痛剤は熱・痛みを抑えるもの」「頭痛薬・痛み止めは痛みを緩和するもの」と別物と思われている方がいらっしゃいますが、
市販のかぜ薬に配合されている解熱鎮痛剤と、痛み止めや頭痛薬などに配合されている解熱鎮痛剤の効能効果は変わりません。
用法用量以上の解熱鎮痛剤の服用は副作用のリスクが高まります
総合感冒薬と頭痛薬を同時に服用した場合、解熱鎮痛剤の作用が症状を抑える以上に強くでてしまうおそれがあります。
決められた用法用量以上の服用は、吐き気腹痛などの胃腸障害からアナフィラキシーショックなどの重篤な健康被害を及ぼす副作用のリスクが高まります。
頭痛がひどくても市販の総合感冒薬と頭痛薬の飲み合わせはNGですので併用しないでください。
総合感冒薬に配合されている解熱鎮痛剤と頭痛薬の効き目の違い
熱や痛みを緩和するために市販のかぜ薬に配合されている解熱鎮痛剤と、痛み止めや頭痛薬などに配合されている解熱鎮痛剤の効能効果は変わりません。
解熱鎮痛剤は、発痛増痛物質のプロスタグランジンが増えるのを阻止して、炎症による腫れや痛みが拡がるのを抑えてくれます。
また、プロスタグランジンは脳に体温を上げさせるはたらきを持つため、プロスタグランジンが増えると身体のなかに熱を必要以上に溜め込むもうとするので体温が上がります。
総合感冒薬と頭痛薬で痛みに対する効能効果の表記が違う理由
医薬品には成分的には効能効果として認められていても、申請したもの以外は効能効果として表記できないルールがあります(総合感冒薬と頭痛薬の効能効果の差は申請した書類による)
市販のかぜ薬や痛み止めには、アスピリン・アセトアミノフェン・イソプロピルアンチピリン・イブプロフェン・エテンザミド・ロキソプロフェンナトリウムなどが配合されています。
痛みや熱に限っては、かぜ薬と解熱鎮痛剤どちらを使用しても問題なく効果を発揮します(かぜ薬には解熱効果と抗炎症効果に優れるロキソプロフェンナトリウムは配合されていません)
かぜ薬の解熱鎮痛剤の効能効果 | 痛み止めの鎮痛剤の効能効果 |
・発熱、悪寒 ・のどの痛み ・頭痛 ・関節の痛み、筋肉の痛みの緩和など |
頭痛・腰痛・関節痛・月経痛(生理痛)・肩こり痛・神経痛・筋肉痛・骨折痛・ねんざ痛・打撲痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・外傷痛の鎮痛・悪寒・発熱時の解熱など |
市販の解熱鎮痛剤の一例
解熱鎮痛成分 | 代表的な市販薬 |
アスピリン | バファリンA |
アセトアミノフェン | タイレノールA |
イソプロピルアンチピリン | セデス・ハイ |
イブプロフェン | イブA錠 |
ロキソプロフェンナトリウム | ロキソニンS |
参考総合感冒薬と解熱鎮痛剤を使い分けるメリット
総合感冒薬(かぜ薬)は、風邪に効く成分が過不足なく入っています。
例えば、鼻の症状がないのに必要のない鼻炎薬の成分を飲んだり、せきの症状がないのにせき止めを服用してしまいます。
鼻炎内服薬や鎮咳去たん薬は、眠くなったりのどが渇くなどの副作用もあるので、風邪の症状が熱や痛みだけの場合は、不要な成分を避けて副作用のリスクを避けられるメリットもあります。
かぜ薬の眠気を避けたい方で、症状が⾼熱やのどの痛みだけの場合。無理にかぜ薬を選ばなくても、眠気の副作用を催す成分が入っていない解熱鎮痛剤を選ぶ方法もあります。
(参考)風邪には総合感冒薬(かぜ薬)と思い込みがちですが、風邪の症状がくしゃみ・鼻水・鼻づまりだけなら鼻炎薬。せき・たんだけの場合は、鎮咳去たん薬で対応することもできます。
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ご参考になれば幸いです