風邪のおくすり

【かぜ薬の漢方薬】発汗時には葛根湯の服用を避けてください

2019-02-08

葛根湯には、強力な発汗作用のある⿇⻩のほかに桂皮など。身体をしっかり温め、発汗を促す効果の高い生薬が配合されています。

葛根湯は風邪のひきはじめなど。発汗前の体力が消耗していないときに飲むと効果を実感しやすい漢方薬です。

くしゃみ、鼻水、熱、のどの痛み、身体の節々の痛み、悪寒、だるさなど。同じ風邪の引きはじめでも、既に汗をかいている場合には葛根湯の服用を避けてください。

汗をかいている状態で葛根湯を服用すると、汗が出過ぎてしまい、必要以上に発汗が促され脱水症状をひき起こすおそれもあります。

葛根湯を発汗時に服用を避けたほうがよい理由

  • 葛根湯は配合されている7種類の生薬のうち⿇⻩と桂皮が身体を温め発汗作用を高めます
汗が出ている人が葛根湯を服用すると、必要以上に身体が温められてしまい発汗による体力の消耗につながります。

発熱は風邪ウイルスから身を守るための防御反応です。風邪のひき始めはウイルスを退治して身体から追い出すために体温を高めます。

体温が高まると、ナチュラルキラー細胞、好中球、樹状細胞等の免疫を担う細胞が活性化され、ウイルスの活動を弱体化させようとします。

体温が一定以上上回ると身体は体内にこもった熱を発散させるため発汗し、汗が蒸発する気化熱で体温は下がり平熱に落ち着いていきます。

葛根湯に配合されている⿇⻩と桂皮は身体を温め発汗を促す作用が高いので、既に熱がでて大量の発汗を伴っている場合は使用しないでください(身体を温め過剰な発汗を助長します)

葛根湯の効き目を引き出す服用のタイミング

  • 葛根湯は悪寒、⾸筋や肩が張る不快感、頭がなんとなく重い、頭痛など、風邪の兆候を感じたその日か遅くても翌日までに飲むのが有効な短期決戦の漢方薬です
葛根湯は、「あれっ?風邪ひいたかも」と体調の変化を感じたら、予防するつもりで飲むと症状がひどくなるのを防ぐ手助けをしてくれます。

葛根湯の原料や配合の仕方などが収載されている漢方薬の原典とされる書物には、

葛根湯は、汗が出ておらずウイルスや細菌を追い出すための熱を作っているときの症状(悪寒・頭痛・節々のこわばり・発熱)があるタイミングで使いなさいと示されています。

また、葛根湯の添付文書(お薬の説明書)には、葛根湯は⾷前または⾷間(⾷事と⾷事の間)に水か白湯(さゆ)で服用してくださいと記載されています。

白湯(さゆ)は少し熱めでご自身が心地よいと感じる温度のお湯のことです。葛根湯は身体を温めて、汗を出す手助けをしてくれますので、⽔よりは温かい⽩湯で飲んでください。

葛根湯の飲み方を解説した記事の中には、量を増やすなどの方法も提示されていますが、市販薬の場合は効果以上に副作用のリスクを高めますのでおすすめしません。

葛根湯に配合されている生薬のはたらき

  • 葛根湯は風邪のごく初期に使われる桂枝湯の処方に葛根と⿇⻩の2種類の生薬をプラスした漢方薬です
私達の身体は体温が37〜38.0℃くらいまで高まると免疫は一時的に約5倍程度上がると⾔われています。

葛根湯と桂枝湯は同じ桂枝・芍薬・大棗・生姜・甘草の生薬が配合されていますが、葛根湯は追加で葛根と身体を温め発汗を促す⿇⻩が配合されています。

特に⿇⻩と桂枝の生薬の組み合わせは身体をしっかり温め、発汗を促す効果の高い組み合わせになります。

漢方の考え方では、既に汗をかいている(=ウイルスを追い出すための熱を作り出せている)と判断し、桂枝湯には身体を温める⿇⻩が配合されていません。

一方で葛根湯はウイルスや細菌を追い出すための熱を作り出す力が足りないなと思われる方のために、桂枝にプラスして⿇⻩が配合されています。

葛根湯はまだ熱が作り出せておらず風邪の初期で汗がまだ出ていない人向け、桂枝湯は既に汗が出ている人向けに用いられる漢方薬になります。
  • 葛根(かっこん)…筋⾁の痛みをやわらげてくれる生薬です。
  • ⿇⻩(まおう)…身体を温めて、発汗を促してくれます。
  • 桂皮(けいひ)…⿇⻩と同じく発汗作用があり、⿇⻩との相乗効果で汗をしっかり出してくれます。
  • ⼤棗(たいそう)…身体のこわばりなどを緩和する生薬です。
  • ⽣姜(しょうきょう)…身体を温め胃腸の働きを整えてくれます。
  • ⽢草(かんぞう)…胃腸を守るはたらきもあり、弱った胃を保護してくれます。また⽣薬同士の調整も担う生薬です。
  • 芍薬(しゃくやく)…筋肉の緊張を緩和し痛みを鎮めてくれます。

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