よく禁煙補助薬をはじめて試される方から「ニコチンパッチとニコチンガムはどっちが効きますか」とのご質問を耳にしますが、貼り薬とガムで禁煙成功率に劇的な差はありません。
ニコチンパッチとガムは併用できませんので、市販の禁煙補助薬は、貼り薬とガムで続けやすそうと思った形から始めて下さい。
この記事では、ニコチンパッチとニコチンガムの違いや使用上の疑問点をご紹介します。
ニコチンガムとニコチンパッチの効果はほぼ同じ
- 二コチンパッチで肌がかぶれるようなことがなければ貼り薬の方が楽に続けられます。
ニコチンガムは、普通のガムのうようにただ噛むのではなく、正しい使用方法にしたがって1回1個を30~60分間かけて噛む手間がいります。
禁煙成功率で比較する場合は、貼るだけで手間のかからないニコチンパッチ(貼り薬)の方がニコチンガムに比べてわずかに上回ります。
また、ニコチンパッチ(貼り薬)は1日の使用量(ニコチンの吸収量)が一定なので、ガムのようにニコチンの過剰摂取の心配がなくなります。
ニコチンパッチは使用してもタバコを吸わないことによる口寂しさはなくなりません。
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ニコチンパッチ・ニコチンガムはニコチンの吸収を抑える薬ではありません
- ニコチンパッチやニコチンガムは脳が気づかない程度にニコチンの量を減らし、最終的にはタバコを止めても離脱症状が起きないレベルまでニコチンへの依存度を下げるものです。
ニコチンパッチやニコチンガム(禁煙補助薬)は、脂肪の吸収を穏やかにする健康食品のようにニコチンそのものの吸収を抑える医薬品ではありません。
イメージ的には、タバコからタールや一酸化炭素などの有害物質をカットした純粋なニコチンを吸っているのと同じになります(貼り薬の場合は皮膚吸収です)
ご存知の通りニコチンには依存性があります。急に止めると「イライラする・そわそわ落ち着かない・無性にタバコが吸いたくなる」などの離脱症状がでます。
タバコだと本数を減らすだけではニコチンの量が加減しにくいですが、禁煙補助薬を使うと無理なくニコチンの摂取量を減らせます。
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ニコチンパッチやニコチンガムで禁煙してる間の喫煙はNGです
- ニコチンパッチやニコチンガム(禁煙補助薬)の合間にタバコを吸うのは、より重度のニコチン依存症を引き起こすリスクを高める危険性があります。
ときおり「禁煙パッチを貼りながら喫煙するといつもより吸う本数が少なくて満足できる」と使用感をご報告される方いらっしゃいます。
タバコの本数が減るのは禁煙パッチ本来の効果ではなく、タバコ(ニコチン)と禁煙パッチ(ニコチン)両方からニコチンを過剰摂取しているためです。
ニコチンパッチを使用しながらタバコを吸う行為は、いつも吸ってる銘柄よりきついタバコを吸ってるのと変わりませんので止めてください。
ニコチンの過剰摂取は、禁煙に失敗するだけでなくニコチン依存を高めるだけです。
ニコチンパッチ・ニコチンガムの使用がNGな方について
禁煙補助薬によるニコチンの摂取は、子宮の収縮による胎児や母乳を飲んだ赤ちゃんに悪影響を与える危険性があります。
またニコチンは、血圧上昇や血管収縮作用を持っています。狭心症や不整脈の持病を患っている方はニコチンパッチやニコチンガム(禁煙補助薬)は使用しないでください。
心筋梗塞や脳梗塞の既往症がある方の使用も禁忌になります。ニコチンを摂取することにより血管収縮が起こり、心筋梗塞や脳梗塞の悪化の原因になります。
市販の禁煙補助薬ではタバコの離脱症状が緩和されない方や、重度のニコチン依存症が疑われる場合は市販の禁煙補助薬の使用を中止してください。
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参考市販の禁煙補助薬で失敗した方へ
禁煙と喫煙と繰り返し、ニコチンガムをとぎれとぎれに間隔を空けて使用するのはニコチン依存のリスク高めるだけです。
また、まれに禁煙8週間プログラム終了にもう一度ニコチンパッチの使用を始められる方がいらっしゃいますが、市販のニコチンパッチは8週間で止めてください。
重度のニコチン依存症が疑われる場合は禁煙治療が健康保険の適応になる場合がありますので、お近くの禁煙外来を受診されることをおすすめします。
禁煙外来では、貼り薬のほかに離脱症状を緩和したりタバコを吸った満足感を阻害するバレニクリンやチャンピックスなどが使えます。
国内で行われた研究でも、従来のニコチン製剤と比較した場合。バレニクリンを使用した禁煙治療の成功率が高いことが報告されています。
禁煙外来をご検討の方は、日本禁煙学会の「禁煙治療に保険が使える医療機関情報最新版」でお近くの禁煙外来を検索してみてください。