肩こりのビタミン剤を選んでいるとき、パッケージの似たような効能効果から、「結局このおくすりって何が違うの」って疑問に思ったことはありませんか。
例えば、アクテージSN錠とナボリンSを比較した場合。アクテージSN錠は「肩・首筋のこりや手足のしびれに」、ナボリンSには「肩こり・腰痛、目の疲れの緩和」と記載されています。
パッケージに記載されたキャッチフレーズを見て、「なんとなく自分の症状に近そうなアクテージSN錠の方が効きそう」など。製品のイメージから選ばれた経験がある方もいらっしゃると思います。
この記事では、①似たような成分でもパッケージごとに効能効果が異なる理由②アリナミンメディカルゴールド・アクテージSN錠・ナボリンS・ナボリンEB錠の違い③服用する際の注意事項をご紹介しています。
アクテージSN錠とナボリンSの効果の表記が違う理由
医薬品には申請した効能効果以外のものはパッケージに表記できないルールがあります。成分的には効能効果として認められていても、申請した効き目以外のものは効能効果として表示することができません。
アクテージSN錠やナボリンSは、肩こりの凝り固まった筋肉の疲労回復を助けるビタミンB1と、血行不良をやわらげ疲労物質の蓄積を緩和するアリナミンEXプラスαに、
病院で出されるメチコバールと同じメコバラミン(ビタミンB12)をプラスした、アリナミンシリーズの上位版(アリナミンメディカルゴールド)と同じ医薬品です。
アクテージSN錠 | ナボリンS |
「肩・首すじのこり」「手足のしびれ」に | 「肩こり」「腰痛」「目の疲れ」の緩和 |
筋肉痛・関節痛(肩・首すじのこり、腰痛、五十肩など)、手足のしびれ、神経痛、眼精疲労 | 筋肉痛・関節痛(腰痛、肩こり、五十肩など)、神経痛、手足のしびれ、眼精疲労 |
肩こりに効くビタミン剤の価格の違いはビタミンB12の種類
- 市販薬には活性型ビタミンB12のメコバラミンと非活性型ビタミンB12のシアノコバラミンの2種類が配合されています
例えば、活性型のメコバラミンはそのまま人体に吸収しやすい形になっているビタミン。非活性型のシアノコバラミンは、一度肝臓などで吸収しやすい形に作り変えられてから吸収されます。
また、メコバラミン(ビタミンB12)は、葉酸との相乗効果でたんぱく質とリン脂質の合成を促進し、コリや痛みの一因となる末梢神経のダメージの回復を早める効果があります。
同じアリナミンブランドで比較した場合。「アリナミンA・アリナミン50・アリナミンEXプラス・アリナミンEXプラスα」は非活性型のシアノコバラミン。
1錠あたりの単価が高めな「アリナミンメディカルゴールド」および同じメーカーの「アクテージSN錠」は活性型のビタミンB12(メコバラミン)を採用しています。
参考アリナミンに配合されているビタミンB12の種類
製品名 | シアノコバラミン |
メコバラミン |
アリナミンA | ● | |
アリナミン50 | ● | |
アリナミンEXプラス | ● | |
アリナミンEXプラスα | ● | |
アリナミンメディカルゴールド | ● | |
(参考)アクテージSN錠 | ● | |
(参考)ナボリンS | ● | |
(参考)ナボリンEB錠 | ● |
アリナミンメディカルゴールド・アクテージSN錠・ナボリンS・EB錠の違い
【第3類医薬品】アリナミンEXゴールド |
【第3類医薬品】アクテージSN錠 |
【第3類医薬品】ナボリンS |
【第3類医薬品】ナボリンEB錠 |
「アクテージSN錠とアリナミンEXゴールドの違い」でアリナミンEXゴールドがアクテージSN錠より後に販売された経緯をご紹介していますが、
アクテージSN錠とアリナミンEXゴールド(現アリナミンメディカルゴールド)は、成分が全く同じビタミン剤です。
ナボリンEB錠は、ナボリンSの発売前から販売されていたメコバラミン配合のビタミン剤になります。メコバラミンの量は変わりませんが葉酸無配合で、ナボリンSと比べてビタミンB1・B6の配合量が少なくなります。
また、代表的な市販薬のメコバラミンは同じ1,500μgですが、葉酸については各製品ごとに配合量に違いがあります。
製品名 | メコバラミン |
葉酸 |
アリナミンメディカルゴールド | 1,500μg | 1mg |
アクテージSN錠 | 1,500μg | 1mg |
ナボリンEB錠 | 1,500μg | - |
ナボリンS | 1,500μg | 5mg |
ヘルビタS | 1,500μg | 5mg |
ロスミンS | 1,500μg | 5mg |
関連記事ナボリンSと同成分の「ヘルビタS」や「ロスミンS」の違い(タップorクリックで関連記事に移動)
アリナミンメディカルゴールドやナボリンSの効果を実感するための期間
- 慢性的なコリや痛みの原因といわれる末梢神経に蓄積したダメージの修復には平均して40日程度かかります
全身に張りめぐらされた末梢神経は、脳に「痛みやコリ」などを伝える役割を担っています。
メコバラミンを配合した医薬品は、継続服用することで肩こりの一因となっている末梢神経のダメージを少しずつ修復し、症状を楽にしてくれます。
特にアリナミンメディカルゴールドやナボリンSは臨床結果を公開していて、4週間継続した場合に約6割弱の方が肩こりの症状が改善したデータを公表しています(メーカー発表による)
メコバラミン配合の市販薬を⻑期間服⽤した際の副作⽤
- メコバラミンを配合したビタミン剤は過剰症の心配がない水溶性ビタミンB群を中心に構成されています
摂り過ぎた分の水溶性ビタミンは身体の外に排出されますので、用法用量を守っている限りは過剰症の心配をする必要はありません。
また、⾝体に蓄積する脂溶性ビタミン(ビタミンE・ガンマーオリザノール)も、⽤法⽤量を厳守している限りは過剰症のリスクは薄いです。
ただし、ほかのビタミン剤やサプリメントとあわせて大量摂取した場合は、胃がムカムカしたり腹痛など。胃腸障害を起こすリスクが⾼まります。
ビタミン剤は大量摂取など⻑期間度を超えた過剰摂取は行わないようにしてください。
メコバラミン配合の市販薬と解熱鎮痛剤やシップ薬の併用について
- メコバラミン医薬品は解熱鎮痛剤(痛み⽌め)や消炎鎮痛剤(シップ薬や塗り薬)と成分の重複がなく、併用による副作⽤の⼼配はありません
例えば、サロンパスで有名な久光製薬さんのシップで比較した場合。
痛みをとる効果の強い順に、フェイタスZαジクサス(ジクロフェナク)は痛みが特につらい肩こりに。フェイタス5.0(フェルビナク)は慢性的な肩こりをどうにかしたい人向け。
サロンパスA(サリチル酸メチル)は、急性の筋肉痛やちょっとした肩こりを治したいときに効果的なシップ薬になります。
一例として、フェイタスZαジクサス(痛みに対する効果が強いジクロフェナクナトリウムを配合)とナボリンSを併用した場合。
ナボリンSが肩こりの末梢神経のダメージの修復を補助して、「シップ薬」が痛みの元となる増痛物質(プロスタグランジン)の増加を抑える「ダブルの効果」が見込めます。
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市販薬で治せない肩こりについて
- 市販薬を1ヵ月程度使用しても症状の改善が見られない時は整形外科など医療機関を受診してください
例えば同じ肩こりでも、頚椎椎間板ヘルニア(首や背骨の神経の圧迫が原因)で起こっている肩こりなどは市販薬では対処できません。
また内科的アプローチでも、たとえば心臓の病気や肺の病気、高血圧、更年期障害など。筋肉のコリや末梢神経の傷以外の病気が原因で、肩こりに似た症状が起きていることもあります。
この場合は医療機関での治療が優先されますので、市販薬を使用しないでください。
市販薬の効能効果の範疇を超えている肩こりについては、日本臨床内科医会の「わかりやすい病気の話47 肩こり」を参考にしてみて下さい。
ご参考になれば幸いです