お薬の疑問

【要指導医薬品・第1類医薬品】市販薬のリスク区分は効き目の強さではありません

2017-01-08

「要指導医薬品・第1類医薬品」は、「第2類医薬品・第3類医薬品」よりもお薬の相互作用や副作用を避けるため使用上の制限が多い医薬品です。

新発売の医薬品で見かけることの多い「要指導医薬品」や「第1類医薬品」は、薬剤師が不在の時間は購入できないため、効き目の強い市販薬と誤解されている方も多いですよね。

よく市販薬のリスク区分を見て、どちらのほうが効き目がよいかとご相談される方も多いのですが、パッケージに記載されている【第△△類医薬品】の表記は、医薬品の効き目(強さ)とは関係ありません。

市販薬は、お薬同士の相互作用の多さや副作用のリスクの大きさに応じて、要指導医薬品・第1類医薬品・指定第2類医薬品・第2類医薬品・第3類医薬品に分類されています。

リスク区分 販売対応者 お薬の説明義務 販売方法
要指導医薬品 薬剤師 義務 店舗での対面販売のみ
第1類医薬品 薬剤師 義務 店舗販売・ネット通販可
第2類医薬品 薬剤師・登録販売者 努力義務 店舗販売・ネット通販可
第3類医薬品 薬剤師・登録販売者 規定なし 店舗販売・ネット通販可

要指導医薬品の市販薬はむくみ改善薬のアンチスタックスなど

医療用として処方されていた成分が一般用にスイッチされリスクの評価が未確定のものです。

具体的な医薬品としては、むくみ改善薬のアンチスタックス(ゼリア新薬株式会社)や月経前症候群治療薬のプレフェミン(エスエス製薬株式会社)などがあります。

要指導医薬品は必ず薬剤師が対面販売することになっていて、インターネット等での通信販売が認められていません。

ただし、市販薬のパッケージに記載されている【第△△類医薬品】の表記は、安全性の再評価などによって変更されます。

例えば、湿布薬のロキソニンSテープは要指導医薬品→第1類医薬品に。花粉症の飲み薬であるクラリチンEXは、数年間のリスク評価期間を経て要指導医薬品→第1類医薬品→第2類医薬品に。

むし歯予防薬のエフコート(サンスター株式会社)に至っては要指導医薬品→第3類医薬品に変更されています。

第1類医薬品の市販薬はガスター10など

医療用成分から転用されたスイッチOTC医薬品や、ダイレクトOTC薬など。相互作用など副作用を避けるための制限が多い医薬品です。

具体的な製品としては、胃酸の出過ぎを抑えるガスター10(第一三共ヘルスケア株式会社女性ホルモンの乱れから出来る肝斑(かんぱん)を無くすトランシーノ(第一三共ヘルスケア株式会社

発毛剤のリアップ(大正株式会社解熱鎮痛薬のロキソニンS(第一三共ヘルスケア株式会社)などがあります。

市販薬のなかで、特に第1類医薬品は使用にあたっての制限項目が多く、一歩間違えると日常生活に支障をきたす健康被害(副作用等)が生じる可能性が高いおくすりです。

ケトチフェン・ジクロフェナク・フェキソフェナジン・プラノプロフェンなど、安全性の評価の見直しによって第2類医薬品にリスク区分変更になった成分も多数あります(exフェキソフェナジン=アレグラFX)

ガスター10が第2類医薬品に変更されない理由

ガスター10は服薬方法を守らない場合。現在の症状が悪化したり、副作用が起こるリスクが第2類医薬品・第3類医薬品に比べて非常に多い医薬品です。

ガスター10は長年第1類医薬品から第2類医薬品への変更が要望されている胃薬です。

ただし、ガスター10は使用上の注意としてしてはいけないことも多く、守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなるためです。

例えば、3日間服用しても症状の改善がみられない場合は服用を中止し、2週間を超えて続けて服用しないで下さいといった使用制限があります。

この制限の理由は、ガスター10は即効性に優れるため、漫然と服薬を続けた場合。重篤な消化器疾患を見過ごすおそれがあるためです。

また、ガスター10は医療機関で治療に用いられている医薬品との相互作用も多いため服用に関して慎重な取扱が求められます。

指定第2類医薬品・第2類医薬品はかぜ薬や解熱鎮痛剤鼻炎薬など

第1類医薬品ほどではありませんが、日常生活に支障をきたす健康被害(副作用等)が生じる可能性があるおくすりです。

第2類医薬品のなかでも、長期間使用することによって依存性のあるもの等は指定第2類医薬品として区別されています。

具体的な製品としては、かぜ薬や解熱鎮痛剤、せき止め、鼻炎薬などが指定第2類医薬品に分類されています。

第2類医薬品は基礎疾患への悪影響など、相互作用や副作用など使い方を間違うと日常生活に支障をきたす健康被害(副作用等)が生じる成分が配合されたものです。

具体的には、解熱鎮痛剤の場合は食後の服用を守らないと成分で胃を荒らす可能性があります。鼻炎薬に配合される抗ヒスタミン剤→甲状腺機能障害、糖尿病、心臓病、高血圧、肝臓病、腎臓病、緑内障などを悪化させます。

第2類医薬品で有名な副作用被害について

例えば緑内障の方の場合。花粉症の目薬のなかに配合されているクロルフェニラミンマレイン酸塩(目のかゆみを止める成分)の使用は禁忌です。

人の目には房水とよばれる液体が清潔な状態を保つため循環しています。緑内障のひとは、何らかの原因で房水を排出するための管が目詰まりしている状態です。

クロルフェニラミンマレイン酸塩はその房水を排出する管をきゅっと収縮させる福作用を持っていて、緑内障を悪化させます。

クロルフェニラミンマレイン酸塩は【第2類医薬品】にリスク分けされていて、目薬だけでなくさまざまな市販薬に幅広く配合されています。

関連記事【花粉症のお薬の副作用】緑内障の方は花粉症の市販薬全般を使用しないで下さい

第3類医薬品は要指導医薬品・第1類・第2類医薬品以外の市販薬

日常生活に支障をきたす程度ではありませんが、まれに身体の変調など軽微なリスクが起こる医薬品群です。

ビタミン剤だと、エーザイのチョコラBBプラスやタケダのアリナミンEX。目薬の場合は参天製薬のソフトサンティア。

便秘薬では健栄製薬の酸化マグネシウムE便秘薬。虫さされのムヒS(池田模範堂)肩こりのサロンパス(久光製薬)

眠気覚ましならエスエス製薬のエスタロンモカ内服液などが該当します。

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