お薬の疑問

医療用医薬品は処方箋なしで買えないのですか。

2016-12-20

【 疑問 】ネットで調べたら、処方箋なしでも買えますって情報が出てくるんですけど、これって違法でしょうか?

零売(れいばい)とか、医療用医薬品の個人輸入のことですね。

零売(れいばい)とは

零売って難しい呼び方よりは分割販売って言ったほうがイメージしやすいと思いますが、

零売は、やむを得ない正当な理由がある場合、医療用医薬品を処方箋なしに必要最低限の量だけ販売する制度のことを言います。

【疑問】その正当な理由があったら薬局で処方箋なしに買えるんですか?

【回答】それが、ちょっと難しいお話になるので、YesともNoともお答えできません。

正当な理由とは

零売はやむおえない正当な理由がある場合、医療用医薬品を処方箋なしに必要最低限の量だけ販売する制度です。

国が規定している正当な理由とは、大規模な災害等によって医師等の受診や処方箋の交付が困難となってしまった場合や、

助産師や救急救命士による緊急措置等、13項目に限って『販売を行っても差し支えない』と場合分けしています。

そのなかには処方箋の期限が切れてしまったことや、お薬をなくした、薬を忘れたまま出かけてしまったような個人的な理由は記載されていないんですね。

処方せん医薬品の販売の正当な理由について知りたい方は、厚生労働省医薬食品局長が公表している「薬局医薬品の取扱いについて」の2ページ目「処方箋に基づく販売(2)正当な理由」をご参照ください。

参考厚生労働省医薬食品局 薬食発 薬局医薬品の取扱いについて

処方せん医薬品と処方せん医薬品以外の医療用医薬品

医療用医薬品には、医師の処方せんを必要とする処方せん医薬品と、処方せんを必要としない医療用医薬品の2種類があります。

皆さんが普段医療用医薬品と呼んでいるお薬は、お医者さんから診察を受けて処方箋と引き換えに薬局でもらうお薬(処方薬)がイメージされると思います。

医師の診断をなしに個人が処方せん薬の購入するのは、医薬品医療機器等法 第49条 第1項により原則無理に近いです。

詳しく国の見解がどうなっているの知りたい方は、先ほど紹介した厚生労働省医薬食品局「 薬食発 0318 第4号 平成 26 年3月 18 日薬局医薬品の取扱いについてをご覧ください。

参考厚生労働省医薬食品局 薬食発 0318 第4号 平成 26 年3月 18 日薬局医薬品の取扱いについて

零売で購入できる医療用医薬品とデメリット

処方せん医薬品は購入不可ですが、処方せん医薬品以外の医療用医薬品は零売で購入できる場合もあります。

ただし、零売で個別販売できる医薬品の種類もあらかじめ決まっていて、成分の大半は薬店等で見かける一般用医薬品と同じ成分が占めます。

また、零売で購入したお薬で起こった副作用は、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない可能性があります。ですので、薬局側も積極的には販売されないと思います。

基礎疾患の治療薬の大半は処方せん医薬品です。医師の診断に基づかない処方せん医薬品の購入は、星の数ほどある相互作用が原因で思わぬ健康被害を引き起こす場合があります。

時折、処方せん薬の販売を広告している薬局も見かけますが、医師の指示に基づかない処方せん薬の購入は絶対に行わないでください。

処方せん医薬品以外の医療用医薬品の販売条件については、「薬局医薬品の取扱いについて」4ページの正当な理由について をご覧ください

参考厚生労働省医薬食品局  薬局医薬品の取扱いについて

医薬品の個人輸入について

厚生労働省の医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課のホームページに、医薬品等の個人輸入に関するQ&Aの説明が記載されています。

医薬品が人体に及ぼす作用はすべてが解明されているわけではありません。何らかの基礎疾患をお持ちで継続的な治療を受けられている方は、医師による治療が優先されます。

処方せん医薬品は自己判断で使用すると重大な健康被害を生じるおそれがありますので、処方せん医薬品の個人輸入は行わないでください。

基本的に零売と同じく、個人輸入で起こった医薬品の健康被害も医薬品副作用被害救済制度の対象とならないため、重い障害が残ったとしても自己責任になります。

参考厚生労働省医薬品等の個人輸入に関するQ&A

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