風邪のおくすり

インフルエンザの治療薬の投与が発熱後48時間以内と時間制限されている理由

2016-12-12

インフルエンザが疑われる場合。なるべく早くインフルエンザの治療薬を処方してもらった方が症状の感じ方もグッと楽になります。

高熱や咳など。インフルエンザの症状は、身体がインフルエンザウィルスを追い出すための防御反応です。

体内でインフルエンザウィルスが爆発的に増えるのを防げれば、ご自身の免疫力によって退治するウィルスも少なくて済み、症状が重くなるのを抑えられます。

インフルエンザの治療薬は、ノイラミニダーゼ阻害薬やエンドヌクレアーゼ阻害薬と呼ばれるインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ成分があります。

2つの治療薬は、作用機序に違いはありますが、どちらもインフルエンザウィルスが少ないうちにウイルスが増殖するのに必要な働きを抑えます。

ただし、インフルエンザウイルスが身体中に広がってからでは遅いので、「抗インフルエンザ薬の投与が発熱後48時間以内」と時間制限されている理由はこのためです。

インフルエンザの治療薬はウィルスの増殖がピークを迎える48時間以内の投与が効果的

  • 現時点ではインフルエンザウイルス自体を退治する治療薬は流通しておりません

タミフル・リレンザ・イナビル・ラピアクタ・ゾフルーザなど。

病院で処方されるインフルエンザの治療薬は、体内でインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ成分でウイルスそのものを退治するお薬ではありません。

インフルエンザ治療薬の目的は、インフルエンザウィルスの数が少ないうちにウイルスの増殖を封じ込め、症状を悪化させないことです。

体内に侵入したインフルエンザウィルスは増殖を繰り返し、感染後2〜3日で最も多くなります。

インフルエンザの治療薬は、インフルエンザウィルスが一定以上増えた後では効果が薄いので、ウィルスの増殖がピークを迎える前(48時間以内)の投与が望ましいとされています。

インフルエンザ治療薬は、体内のインフルエンザウィルスの数が少ないほど効果が高く、症状の緩和が期待できます。

インフルエンザの治療薬は効き目を比べるよりどれだけ早く服用したかが重要

  • 抗インフルエンザ薬は点滴・吸⼊・飲み薬など剤形が異なってもウイルスの増殖を抑える効果は一緒です

抗インフルエンザ薬には、 カプセルタイプのタミフル・錠剤のゾフルーザ・粉剤のタミフル・吸入剤のリレンザ・イナビル・点滴のラピアクタ等があります。

人によっては口コミでラピアクタ(点滴薬)がよく効いたとか、リレンザよりイナビルの方が早く治ったなど。

ご自身の経験談を元に薬剤を指定される方もいらっしゃいますが、お医者さんは、成分の違いよりも患者さんの状態に合わせて医薬品を選んでいます。

他人の評判でお薬を指定するのは治療の邪魔になることはあっても、有益なことはひとつもありません。

インフルエンザの治療薬は、どの薬剤を選ぶかよりも、インフルエンザを発症してからどれだけ早く薬を投与したかが重要になります。

インフルエンザの治療薬の体感の違いは用法用量の違いと効果の持続時間の差

  • タミフル(内服薬 / 1日2回服用5日間)・リレンザ(用法:吸入薬 / 1日2回吸入 5日間)・ラピアクタ(点滴 / 1日〜数日)に対してイナビル(吸入薬 / 1回で完了)

例えば、処方される方も多いタミフル・リレンザは、「1⽇2回の服用を5⽇間続けてください」と指示されます。

それに対して、イナビルはその日に1回分(成⼈の場合2吸⼊)だけすればその後は服用しなくてよく、「イナビルの方が即効性の高い優れた薬」と誤解される方がいらっしゃいます。

イナビルはタミフル・リレンザに比べて効果が強いわけではなく、イナビルの主成分であるラニナミビルの持続時間が70時間程度(⾎中濃度の半減期)と⻑いためです。

持続時間の長いイナビルは、1回吸⼊をすると効果が何日も長続きするので症状が楽になったと感じるため効能効果が実感しやすくなります。

お医者様は、あなたにとってどのおくすりが一番適切かを見定めて処方されていますので心配しないでください。

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