花粉の飛散時期にお世話になる「花粉症の症状を止める鼻炎薬や点眼薬」ですが、緑内障の基礎疾患を持つ方が使用すると緑内障を悪化させるリスクが高まります。
健康な方には問題のない抗ヒスタミン成分ですが、緑内障の基礎疾患を持つ方は抗コリン作用をもつ成分や抗ヒスタミン成分が配合された医薬品を使用しないで下さい。
緑内障と診断された方が花粉症の目薬や鼻炎内服薬全般を使用した場合。お薬の副作用で眼圧上昇が起こり、最悪の場合は視野欠損や失明につながるおそれがあります。
誤って花粉症の市販薬を使用された場合はすみやかに医薬品の使用を中止して。すぐに眼科専門医を受診してください。

花粉症のお薬による眼圧上昇とは
健康な人の眼には、眼球内の角膜と水晶体の間に房水とよばれる液体が循環しています。
房水は、血液のかわりとなって栄養などを運んだり、眼の老廃物を洗い流すなど。眼球内の角膜と水晶体の間をきれいな状態を保つため循環しています。
緑内障になると、眼球内の角膜と水晶体を満たしている房水の循環(排出)が上手くいかず、必要以上に房水が眼球内に滞留して眼圧が高くなります。
語弊を承知でイメージで説明すると、緑内障の方は何らかの原因で房水を排出する管が目詰まりして。余分な房水が眼から流れていかなくなくなっている状態を指します。
市販薬に配合されている抗コリン作用をもつ成分や抗ヒスタミン成分は、その房水を排出する管をきゅっと収縮する作用を持っています。
房水を排出する管が目詰まりしてる緑内障の方が花粉症の鼻炎内服薬や目薬を使用した場合。房水の滞留が悪化して、眼圧上昇による緑内障の悪化につながります。
房水が流れ出にくくなると必要以上にたまった房水で眼圧が高まります。急性緑内障発作の症状としては、眼痛、目の充血、急激な視力の低下、頭痛、吐き気、おう吐などがあります。
眼圧上昇は最悪の場合。視野欠損や失明につながるおそれがあります。症状が現れた際には原因と考えられる市販薬の使用を中止して、すぐに眼科専門医を受診してください。
花粉症のお薬には緑内障の方の症状を悪化させるリスクがあります
例えば、緑内障と診断された方が花粉症で目薬と鼻炎薬を買いに来たとします。緑内障の患者さんの場合、直接点眼する目薬には気を配っている方が大半です。
ですが意外なことに、花粉症の症状を止める内服薬については目とは別のものと考えて、そこまで意識が回らない方もいらっしゃいます。
花粉症の症状を抑える鼻炎内服薬と目薬には、眼のかゆみや炎症などを止める抗ヒスタミン成分が配合されています。
健康な方には問題のない抗ヒスタミン成分ですが、緑内障の患者さんには眼圧上昇の副作用など悪影響のある成分です。
抗コリン作用をもつ成分や抗ヒスタミン成分は、鼻炎内服薬や眼科用薬、かぜ薬、鎮咳去痰薬、乗物酔い薬、催眠鎮静薬、皮膚のかゆみを止める皮膚疾患用薬などに配合されています。
緑内障の基礎疾患をお持ちの方は、自己判断で花粉症の市販薬を使用せず。かかりつけの医師の判断に従って服用してください。
花粉症のおくすりで原因となる成分の一例
抗ヒスタミン成分は、花粉症などによる鼻水・鼻づまり・くしゃみ・⽪膚の腫れやかゆみなどのアレルギー症状を改善してくれます。

- 鼻炎内服薬:アレグラFX(フェキソフェナジン塩酸塩)
- 鼻炎内服薬:アレジオン20(エピナスチン塩酸塩)
- 鼻炎内服薬:コンタック鼻炎Z(セチリジン塩酸塩)
- 鼻炎内服薬:プレコール持続性鼻炎カプセルLX(クロルフェニラミンマレイン酸塩)
- 点眼薬:マイティアアルピタットEXα(クロモグリク酸ナトリウム)
- 点眼薬:ロートアルガードクリアブロックZ(クロルフェニラミンマレイン酸塩)など
抗ヒスタミン成分は、アレルギー反応の原因となる神経伝達物質のヒスタミンの働きを抑える成分で一般薬全般に幅広く配合されています。

- かぜ薬:パブロン・ルルなど(クロルフェニラミンマレイン酸塩)
- 鎮咳去痰薬:新ブロン液など(クロルフェニラミンマレイン酸塩)
- 乗物酔い薬:トラベルミンなど(ジフェンヒドラミンサリチル酸塩)
- 催眠鎮静薬:ドリエルなど(ジフェンヒドラミン塩酸塩)
- 皮膚疾患用薬:ムヒAZ錠など(アゼラスチン塩酸塩)など
関連記事花粉症のお薬と乗り物酔いの市販薬の併用は抗ヒスタミン薬の重複が起こるので避けてください
厚生労働省重篤副作用疾患別対応マニュアル
厚生労働省では、今までに報告された重篤な副作用について症状や注意すべき人などをまとめた重篤副作用疾患別対応マニュアルを以下のホームページで公表しています。
厚生労働省ホーム から探す場合→政策について→ 分野別の政策一覧→健康・医療→医薬品・医療機器 →医薬品等安全性関連情報→重篤副作用疾患別対応マニュアルで関連資料を見ることができます。
医薬品の副作用被害にあった場合には
医薬品を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合は、医療費や年金などの給付を行う公的な制度があります。
ご参考になれば幸いです